『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―
ミレーヌが帝国へ渡り、
フィリップ皇太子の待つ
大聖堂へ姿を現した瞬間――

ハイドランジア帝国中でざわめきが起きた。

「何だ、このドレスは……!
 花が、本物のように揺れている……!」

「まるでアジサイの精霊だ……」

「聞いたか? あのドレスはElara&Lanoisらしい!」

ハイドランジアのデザイナーたちも驚愕し、
“歴史的傑作” と評されるほどの
センセーションを巻き起こした。

フィリップ皇太子は
人目もはばからずミレーヌに向かって囁く。
「ミレーヌ、君は今日…帝国で一番美しい」

帝国の新聞は翌日こう書きたてた。
『新時代の象徴:アジサイの花嫁』
『Elara&Lanois、ハイドランジア帝国を魅了』
『皇太子妃ミレーヌ、外交の架け橋となるドレス』

おかげさまで、
私にもウエディングドレスを作ってほしいと
Elara&Lanoisはプレ花嫁たちからの
熱烈な問い合わせが殺到した。

その需要に応えるべく、
新たにウエディング専門のドレスラインが
増設されたのであった。

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