崖っぷち女子は屋上で拾ってくれた年下上司とスイーツ革命中
第12話 選ぶのは、“あなたと生きる人生”
夕方の光が白い壁に反射して、部屋の中に淡いオレンジ色の影を落としていた。
私は今日仕上げた雑貨の写真を机の上で撮っている。
ケーキやスイーツの形のキラキラモチーフや、
アンティークグラスのアクセサリー。
どれも心を込めて作った自信作。
「……うん、いい雰囲気」
一人で頷いてしまう。
会社を辞めてから1年。
私は好きなデザインや手作り雑貨を少しずつ形にし、
依頼も少しだけ増えてきた。
まだ仕事と言えるほどではないけれど、
自分のペースで、穏やかに。
次は合同のデザインマルシェで作品を販売することになって、
追い込み作業中だった。
キッチンから、修司の声がした。
「リア、忙しいでしょ?外行くより……蕎麦でも茹でようか?」
振り返ると、仕事用のシャツを脱いでラフなTシャツに着替えた修司が、
袖を軽くまくってこちらを見ていた。
「修司もお仕事大変だっただろうに、食事まで作ってくれるなんて……いいの?」
「今こそがんばりドキでしょ?」
やりたいことを仕事にした彼は、
忙しくてクタクタで帰ってきたはずなのに、優しくしてくれる。
「本当に、いつもこの感謝の気持ちをどうお返しすればいいのか」
「全然、お安い御用ですよ」
そう言って、修司は私の頭に、ふわっと口づけた。
毎回その自然さに心臓が追いつかない。
湯が沸き始め、かつお出汁の香りが部屋に広がる。
そんな時、スマホが震えた。
画面にはミクちゃんからのメッセージ。
《リアちゃん元気〜? 来週ランチ行こ! ハンバーグの店できたの!》
思わず笑ってしまう。
ミクちゃんはいつも明るくて、少し抜けていて、10歳下だけど友達になってくれた。
ときどき「リアピ〜」なんて呼ばれて、くすぐったいけれど嬉しかった。
《リア、マルシェ出店するって聞いたよ!おめでとう。私も行くからね》
疎遠になっていた友達からも連絡がきた。
昔のように、仕事に追われるだけの日々ではなくなった。
関係が壊れたのではなく、
“忙しさ押し流されていただけ”だったのだと今ならわかる。
「リア、ゆず入れていい?」
「入れてほしい!」
返事をすると、修司が微笑んだ。
窓辺の観葉植物が夕風で揺れ、机には撮影途中の小物が並んでいる。
どこにでもある部屋だけど、どこよりも好きな場所。
(“ふたりの時間”って、こういう静かな幸せの積み重ねなんだ……)
私たちは付き合ってすぐ、将来のことを考えて一緒に暮らし始めた。
お互いの家の間の駅で、
小さいけれど作業スペースと撮影台まで確保できる間取りだった。
最近の修司は、いつもどこか穏やかな顔をしている。
外資系のプレスとして、
休日出勤もあるくらい忙しそうだが、毎日きちんと帰ってくる。
そして一緒に食べて、一緒に笑う。
私は今日仕上げた雑貨の写真を机の上で撮っている。
ケーキやスイーツの形のキラキラモチーフや、
アンティークグラスのアクセサリー。
どれも心を込めて作った自信作。
「……うん、いい雰囲気」
一人で頷いてしまう。
会社を辞めてから1年。
私は好きなデザインや手作り雑貨を少しずつ形にし、
依頼も少しだけ増えてきた。
まだ仕事と言えるほどではないけれど、
自分のペースで、穏やかに。
次は合同のデザインマルシェで作品を販売することになって、
追い込み作業中だった。
キッチンから、修司の声がした。
「リア、忙しいでしょ?外行くより……蕎麦でも茹でようか?」
振り返ると、仕事用のシャツを脱いでラフなTシャツに着替えた修司が、
袖を軽くまくってこちらを見ていた。
「修司もお仕事大変だっただろうに、食事まで作ってくれるなんて……いいの?」
「今こそがんばりドキでしょ?」
やりたいことを仕事にした彼は、
忙しくてクタクタで帰ってきたはずなのに、優しくしてくれる。
「本当に、いつもこの感謝の気持ちをどうお返しすればいいのか」
「全然、お安い御用ですよ」
そう言って、修司は私の頭に、ふわっと口づけた。
毎回その自然さに心臓が追いつかない。
湯が沸き始め、かつお出汁の香りが部屋に広がる。
そんな時、スマホが震えた。
画面にはミクちゃんからのメッセージ。
《リアちゃん元気〜? 来週ランチ行こ! ハンバーグの店できたの!》
思わず笑ってしまう。
ミクちゃんはいつも明るくて、少し抜けていて、10歳下だけど友達になってくれた。
ときどき「リアピ〜」なんて呼ばれて、くすぐったいけれど嬉しかった。
《リア、マルシェ出店するって聞いたよ!おめでとう。私も行くからね》
疎遠になっていた友達からも連絡がきた。
昔のように、仕事に追われるだけの日々ではなくなった。
関係が壊れたのではなく、
“忙しさ押し流されていただけ”だったのだと今ならわかる。
「リア、ゆず入れていい?」
「入れてほしい!」
返事をすると、修司が微笑んだ。
窓辺の観葉植物が夕風で揺れ、机には撮影途中の小物が並んでいる。
どこにでもある部屋だけど、どこよりも好きな場所。
(“ふたりの時間”って、こういう静かな幸せの積み重ねなんだ……)
私たちは付き合ってすぐ、将来のことを考えて一緒に暮らし始めた。
お互いの家の間の駅で、
小さいけれど作業スペースと撮影台まで確保できる間取りだった。
最近の修司は、いつもどこか穏やかな顔をしている。
外資系のプレスとして、
休日出勤もあるくらい忙しそうだが、毎日きちんと帰ってくる。
そして一緒に食べて、一緒に笑う。