日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 あれこれ考えているうちに、僕はいつの間にか家の前に到着していた。
 白色の建物で、築二〇年ほどの二階建てアパート。階段を上り、二〇一号室の扉に鍵を差し込む。
 玄関へ入ると、部屋の中から野菜スープのいい香りが漂ってきた。
 まだ朝ごはんを食べていなかったな。
 疲れた身体を癒してくれる香りが僕を包み込む。

「あっ!」

 部屋の奥から高い声がした。僕が何かを言う前に、愛する彼女が──ムラオカ ミキさんが顔を覗かせて、玄関まで出迎えてくれた。
 優しい笑顔を見た瞬間、今まで巡らせていた未来への悩みが吹き飛んでいく。

「ただいま、ミキさん」

 僕が靴を脱いだその直後。彼女はぎゅっと、抱きついてきた。
 このぬくもりが愛おしい。夜勤の疲れなんて、忘れ去ってしまうほどに。

 僕は、彼女を愛している。だからこそ、あれこれ考え込んでしまうのだが、悩みすぎていたって仕方がない。
 彼女との幸せが末永く続くように、今のこの瞬間も大切にしたいんだ。

「辛苦了。トウリョウさん」

 可愛らしい中国語で「お疲れさま」と労ってくれる彼女は、いつだって僕に癒しを与えてくれる。

 そう遠くない将来、彼女にきっとこう伝えよう──

 嫁给我吧。
 僕のお嫁さんになってください、と。

【终】
< 172 / 172 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

私の愛した彼は、こわい人

総文字数/119,583

恋愛(純愛)192ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
都内にいくつもの店舗を所有し経営する強面オーナー×無自覚でいつも後ろ向きなDV被害女性。 「幸せ」を求める彼女と、「幸せ」とはなんなのかを教えてくれるヒーローの純愛物語。 鈴本アスカ(23) エステサロンで働く社会人。幼い頃に養護施設で育った経験がある。彼氏に暴力を振るわれ、疲弊する毎日を送っていた。 神楽ジン(31) アスカが働くベル・フルールの新オーナー。敏腕の強面経営者。DV彼氏からアスカを救い、彼女を守ることを宣言した。 小野タクト(28) ベル・フルールの取引先の営業マンでアスカの(元)恋人。自分本位な性格で、たびたびアスカに暴力を振るってしまう。 柳田ユウキ(31) Barオアシスのバーテンダー。幼い頃から自らの性に疑問を抱いていた。ありのままの自分を受け入れてくれたジンに密かに感謝している。 若宮コハル(23) アスカの学生時代からの友人で、ベル・フルールを彼女に紹介した張本人。お喋り好きで、思ったことをすぐ口にする性格。 阿川ナオミ(52) ベル・フルールの店長。二児の母。普段は優しいが、仕事になると時折厳しさも見せる。見た目は三十代後半にしか見えない美魔女。 柳田キョウコ ベル・フルールの前オーナー。癌を患い、自身での経営が厳しくなったため、ジンに後を継がせた。穏やかな性格。 ■表紙絵はみつ葉様に描いていただきました。ありがとうございます! ※本作品はエブリスタ様にて一部内容を変更したものを掲載しております。
サルビアの育てかた

総文字数/452,754

恋愛(純愛)847ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
義兄妹の純愛、ダンス仲間との友情、家族の愛をテーマにしたドラマティックヒューマンラブストーリー。 *過去作を勢いで公開。気まぐれ不定期更新。但し完結保証です。 ◆素敵な表紙絵はベアしゅう様に描いていただきました!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop