秘密な恋愛
一方、芽依が運ばれた病院では···


病室には、機械の電子音だけが響いていた。
ベッドの上には
まるで眠っているみたいな芽依。

「芽依···っ」
由奈は芽依の手をぎゅっと握ったまま、
何度も、何度も名前を呼んでいた。

握り返してほしい。
ただそれだけなのに。
でも芽依の指先は冷たくて、
反応は返ってこない。


その隣では翔多が、
立ったまま何も言えずにいた。

「···由奈」
翔多が小さく声をかけると、由奈は
ぽたぽたと涙を落としながら、首を振った。


「やだ···芽依、起きるよね···?
」
息をするたびに、胸が痛い。
由奈は芽依の手を、さらにきゅっと握る。

「お願い···芽依···」


その時
廊下の方から、
誰かが走ってくる音が響いた。

バタバタ、と焦った足音。
そして、乱暴なくらいの勢いで

ガラッ
ドアが開く。

「···芽依っ」

息を切らし入ってきたのは···

「佑陽···」
翔多がぽつりと呟いた。
< 374 / 676 >

この作品をシェア

pagetop