秘密な恋愛
​その後の休み時間。

「芽依、このクッキー美味しい! ありがとねっ」
「良かった!」


​実は、佑陽用とは別に
由奈と翔多にもクッキーを焼いてきていた芽依。
先ほど、2人にそれを手渡したばかりだった。


​次の休み時間に
翔多はそのクッキーをサクサクと食べていた。

芽依がまだ佑陽に渡せていない
事情など知らずに、
翔多はクッキーを口に放り込みながら、
ボソッと呟いた。


「やっぱ、芽依ちゃんの作るお菓子って美味いよな」

​それを聞き佑陽の動きが、ピタッと止まる。


​「···は?」
低くつぶやく声。


​「なに···? お前、顔怖いんだけど」
「それ、芽依から貰ったって言った?」

「言ったけど。···あ、もしかしてお前、まだ貰ってねぇの?」

​翔多の言葉に、佑陽はあからさまに不機嫌そうな顔になり、ふいと視線を逸らした。


「昼休みだよ、多分···」
「いや、なんでそんな自信なさそうなんだよ」


​(翔多には先に渡して、俺にはまだなわけ?)

親友相手とはいえ、自分より先に芽依の手作り菓子を受け取っていたことに、
佑陽の心には小さなモヤモヤが広がっていった。
< 648 / 656 >

この作品をシェア

pagetop