影が輝る
とりあえず安心して、みんなにあいさつをした。
「おっはよぉ!今日も一日頑張ろ!」

そのとき、目の前からすごくはっきりとした足音が聞こえてきた。

目線を少しあげると、眼鏡をかけて、薄い顔のバランスが整った男の子の顔があった。

「…君、桜井?」
低い声に威圧感がある。誰だろう、なんだろう?と私の頭にははてながたくさん浮かんでいたと思う。

「何か用かな?」
「俺、山本幹也」

なんでここに、?てか山本ってあの人!?
そう思っている間に山本くんは話し始めた。

「テスト、1点差だった」

……あ、この人多分悔しかったんだ。

いや、それもそうか。
私だって逆の立場だったら、多分悔しい。

だから、自然と口から出た。
「……そっか」
それから笑顔で言った。
「よろしくね、ライバルくん。」

ふざけたつもりも、バカにしたつもりもない。
ちゃんと向き合いたかっただけ。

でもそのとき、ほんの一瞬だけ、彼の表情が揺れた気がした。
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