野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)
宇治(うじ)川(がわ)を荒々(あらあら)しい風が吹いていく。
長年お暮らしになって慣れた風音のはずだけれど、
<父宮(ちちみや)様のお亡くなりになった秋がまたやって来たのか>
と思うと、姫君(ひめぎみ)たちはお心がざわついてお悲しい。

お気を紛(まぎ)らわせようと一周(いっしゅう)忌(き)のご準備をなさっている。
ご法要(ほうよう)の具体的なことについては、薫(かおる)の君(きみ)や山寺(やまでら)の阿闍梨(あじゃり)が決めて手配していかれる。
姫君たちにできることはあまり多くないの。
お供(そな)えする僧侶(そうりょ)の着物やお経(きょう)など、細々(こまごま)としたことを、女房(にょうぼう)たちがお教えするのに従ってご用意していらっしゃる。
いかにもおぼつかないご様子だから、もし薫の君のご後見(こうけん)がなければ、ご身分にふさわしいご法要にはとてもならなかったでしょうね。
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