激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

仕組まれたデート②

2回目のデートは、
馬で遠乗り。

カッコいいとはいえない姿を
宮廷でさらしまくっているビンセント。
少しでもビンセントのカッコいいところを
ルチアに見てもらって
惚れてもらおうと企画された。

ルチアがビンセントの馬に同乗した瞬間ーー
ビンセントの腕が
自然とルチアの腰に回る。

ルチアはビクッとする。
(……近い。ていうか、体温が……っ)
ビンセントの心臓の鼓動が、
振動として伝わる。

ビンセントは逆に、
ルチアが揺れるたびに
腕に伝わる柔らかい感触に頭が真っ白。

ビンセント(心の声)
「落とさないためだ。これは落とさないためなんだ……!!」

ビンセントとルチアの二人は
帝都を外れ、
森の中までやって来た。
湖に着いた二人は魚釣りをすることに。

魚釣りを教えるルチアは、
祖国仕込みの腕前で
どんどん魚を釣り上げていく。

その手際の良さに、
ビンセントはすっかり夢中で見てしまう。

「お前、こんなに器用だったのか。」

「私は海の国出身だもの。これぐらい普通よ。そんな大したことじゃ……ちょっと、近い!距離!」

後ろから覗き込むように
顔を近づけるビンセント。
ふたりの髪が触れそうで、
妙にドキドキする。
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