Good day ! 6
肩を並べてシップへと向かいながら、大翔は小さく「ごめん、軽くて」と舞に謝る。
「いいえ、大丈夫です。明るい方ですね」
「まあ、アメリカ人だから」
「キャプテンとは仲が良かったんですか?」
「しょっちゅう一緒にいただけなんだ」
「ふふ、それを仲良かったって言うんですよ」
「そうか。じゃあ、そうだ」
もう一度ふふっと笑う舞に、大翔は思い出したように話題を変えた。
「そう言えば君の父上には、随分お世話になったよ」
「え? 父に会ったのですか?」
「ああ。トリプルセブンの訓練を、マンツーマンで指導してくださった」
「トリプルセブン? ということは、相澤キャプテンもMixed Fleet Pilotに?」
「そう。今は監督付きで佐倉教官のチェックを受けながら飛んでいて、あと2レグ飛んで合格ならひとり立ちする」
「そうなんですね。すごい! 4月にJWAに来られたばかりなのに、もう二刀流パイロットなんて。あ、キャプテンに対して失礼ですね。すみません。相澤キャプテンなら当然の流れですよね」
「まさか。こうなるなんて、自分でも驚いている」
え?と、舞は大翔を見上げる。
「相澤キャプテンが希望された訳ではないのですか?」
「全く考えていなかった」
「それは意外です。それなら、どういう流れで?」
「どうやら、君の父上のスイッチを押してしまったようで……」
「は? スイッチ、ですか? なんのスイッチでしょう?」
「俺が知りたい」
はあ……と、舞は気の抜けた返事をする。
「佐倉教官の操縦スキルには、俺も心底驚かされた。素晴らしいパイロットだと尊敬している。もっともっと多くのことを教わりたい。だが佐倉教官は、俺のことがあまりお好きではないらしい」
「え、父がですか? そんなことはないと思います」
舞は必死に否定した。
「父は、娘の私がこんなことを言うのもはばかられますが、操縦技術だけでなく、後輩に対しても寛大な性格です。決して相澤キャプテンをそんなふうには思っていないはずです」
「確かに普段は親しみやすい雰囲気で、俺にも穏やかに接してくださる。けど、ふとした時に急に真顔になるんだ。その瞬間、空気がピリッとして……」
「ええ!? どういう時でしょう?」
「それが分からないんだ。なぜなんだろう。伊沢キャプテンとお話しされている時は、真顔でも雰囲気は柔らかくて楽しそうなのに」
「伊沢キャプテンに対してだけでなく、他のキャプテンにもそう接している印象なんですけど。相澤キャプテンにだけ違うなんて、そんなことは……」
困惑しつつ、なんとかして誤解を解こうと舞は考えを巡らせる。
「文化の違いとかもあるかもしれません。今度実家に帰って、父にそれとなく話を聞いてみます」
「いや、そんな。気にしないでくれ。こんな私情を教官のお子さんである君に話すなんて、非常識だった。もう二度とこの話はしない。すまなかった」
「ですが……」
舞が話を続けようとしても、大翔は頑なに口を閉ざし、それ以上その話題に触れることはなかった。
「いいえ、大丈夫です。明るい方ですね」
「まあ、アメリカ人だから」
「キャプテンとは仲が良かったんですか?」
「しょっちゅう一緒にいただけなんだ」
「ふふ、それを仲良かったって言うんですよ」
「そうか。じゃあ、そうだ」
もう一度ふふっと笑う舞に、大翔は思い出したように話題を変えた。
「そう言えば君の父上には、随分お世話になったよ」
「え? 父に会ったのですか?」
「ああ。トリプルセブンの訓練を、マンツーマンで指導してくださった」
「トリプルセブン? ということは、相澤キャプテンもMixed Fleet Pilotに?」
「そう。今は監督付きで佐倉教官のチェックを受けながら飛んでいて、あと2レグ飛んで合格ならひとり立ちする」
「そうなんですね。すごい! 4月にJWAに来られたばかりなのに、もう二刀流パイロットなんて。あ、キャプテンに対して失礼ですね。すみません。相澤キャプテンなら当然の流れですよね」
「まさか。こうなるなんて、自分でも驚いている」
え?と、舞は大翔を見上げる。
「相澤キャプテンが希望された訳ではないのですか?」
「全く考えていなかった」
「それは意外です。それなら、どういう流れで?」
「どうやら、君の父上のスイッチを押してしまったようで……」
「は? スイッチ、ですか? なんのスイッチでしょう?」
「俺が知りたい」
はあ……と、舞は気の抜けた返事をする。
「佐倉教官の操縦スキルには、俺も心底驚かされた。素晴らしいパイロットだと尊敬している。もっともっと多くのことを教わりたい。だが佐倉教官は、俺のことがあまりお好きではないらしい」
「え、父がですか? そんなことはないと思います」
舞は必死に否定した。
「父は、娘の私がこんなことを言うのもはばかられますが、操縦技術だけでなく、後輩に対しても寛大な性格です。決して相澤キャプテンをそんなふうには思っていないはずです」
「確かに普段は親しみやすい雰囲気で、俺にも穏やかに接してくださる。けど、ふとした時に急に真顔になるんだ。その瞬間、空気がピリッとして……」
「ええ!? どういう時でしょう?」
「それが分からないんだ。なぜなんだろう。伊沢キャプテンとお話しされている時は、真顔でも雰囲気は柔らかくて楽しそうなのに」
「伊沢キャプテンに対してだけでなく、他のキャプテンにもそう接している印象なんですけど。相澤キャプテンにだけ違うなんて、そんなことは……」
困惑しつつ、なんとかして誤解を解こうと舞は考えを巡らせる。
「文化の違いとかもあるかもしれません。今度実家に帰って、父にそれとなく話を聞いてみます」
「いや、そんな。気にしないでくれ。こんな私情を教官のお子さんである君に話すなんて、非常識だった。もう二度とこの話はしない。すまなかった」
「ですが……」
舞が話を続けようとしても、大翔は頑なに口を閉ざし、それ以上その話題に触れることはなかった。