Good day ! 6
「まあまあ、そんなに落ち込まないでよ。ね? 舞ちゃん」
なんとかデブリーフィングを終え、「ありがとうございました」と挨拶してからガックリ肩を落とした舞に、伊沢が苦笑いする。
「確かに相澤くんは、佐倉さんに似てるもんね。でも娘の舞ちゃんまで間違えるなんて。『第二の佐倉 大和』って言われるのも、無理ないか」
え?と、舞は顔を上げた。
「あの方、そんなふうに言われてるんですか?」
「そうだよ。知らなかったの? イケメン機長が新しく入って来たって、噂になってたのに」
「えっ、あの方、パイロットなんですか? しかも機長?」
私服姿でフライトバッグも持っておらず、てっきりオフィスの社員かと思っていたのに、まさか機長とは……。
「ほんとに知らないんだね、舞ちゃん。相澤くんは日本生まれのアメリカ育ちで、向こうでパイロットになったんだ。アメリカのエアラインで機長になって、日本に移住するのを機に、JWAに入ったんだよ。ちょうど佐倉さんがラストフライトを迎えて、みんなで寂しがってた時に入れ違いみたいに入って来たから、余計に話題になったんだ。身長180 cm超えのイケメン機長なんて、そうそういないもんね」
そう言って伊沢は、手にしていたタブレットで社員名簿を検索した。
「ほら。ちゃんと載ってるよ、相澤 大翔《ひろと》くん。俺や恵真と同じ、運行乗務第7課所属」
舞はタブレットに表示された顔写真をじっと見つめる。
整った顔立ちや切れ長の目元は父にそっくりだが、やはりどう見ても若い。
「機長ってことは、40歳くらいですよね? もっと若く見えます」
「いや、確か35とか言ってたかな? 向こうのエアラインでは、珍しくないよ。でもまあ、間違いなくエリートだろうね。操縦の腕前はピカイチだから。うちに入社してすぐに機長訓練やった時、俺も恵真も指導したんだよ。恵真から聞いてない?」
「はい、なにも」
「ふうん。まあ、恵真にとったら佐倉さん以外、みんな霞んで見えるんだろうな。ははは!」
それは否定出来ない、と舞は頷いた。
両親は何年経っても、夫婦というより恋人同士のような雰囲気で、いつも微笑んで互いに見つめ合う仲なのだ。
まさに運命の相手という言葉がぴったりで、舞の憧れでもあったが、果たして自分はここまでの人に出会えるのだろうかとも思う。
ましてや今は、パイロットとして学ぶことが多く、恋愛とも無縁の日々。
新しくやって来た機長の噂も、全く耳に入らなかった。
「伊沢キャプテン。この方も機長ということは、私はこの先フライトでご一緒させていただくかもしれませんよね?」
「うん、遅かれ早かれね。帰ったら美羽に聞いてごらんよ、相澤くんのこと。CAの間でも、かなり騒がれてたみたいだから」
「はい」
次にお会いした時にはきちんと謝らないと、と思い、舞は神妙に頷いた。
なんとかデブリーフィングを終え、「ありがとうございました」と挨拶してからガックリ肩を落とした舞に、伊沢が苦笑いする。
「確かに相澤くんは、佐倉さんに似てるもんね。でも娘の舞ちゃんまで間違えるなんて。『第二の佐倉 大和』って言われるのも、無理ないか」
え?と、舞は顔を上げた。
「あの方、そんなふうに言われてるんですか?」
「そうだよ。知らなかったの? イケメン機長が新しく入って来たって、噂になってたのに」
「えっ、あの方、パイロットなんですか? しかも機長?」
私服姿でフライトバッグも持っておらず、てっきりオフィスの社員かと思っていたのに、まさか機長とは……。
「ほんとに知らないんだね、舞ちゃん。相澤くんは日本生まれのアメリカ育ちで、向こうでパイロットになったんだ。アメリカのエアラインで機長になって、日本に移住するのを機に、JWAに入ったんだよ。ちょうど佐倉さんがラストフライトを迎えて、みんなで寂しがってた時に入れ違いみたいに入って来たから、余計に話題になったんだ。身長180 cm超えのイケメン機長なんて、そうそういないもんね」
そう言って伊沢は、手にしていたタブレットで社員名簿を検索した。
「ほら。ちゃんと載ってるよ、相澤 大翔《ひろと》くん。俺や恵真と同じ、運行乗務第7課所属」
舞はタブレットに表示された顔写真をじっと見つめる。
整った顔立ちや切れ長の目元は父にそっくりだが、やはりどう見ても若い。
「機長ってことは、40歳くらいですよね? もっと若く見えます」
「いや、確か35とか言ってたかな? 向こうのエアラインでは、珍しくないよ。でもまあ、間違いなくエリートだろうね。操縦の腕前はピカイチだから。うちに入社してすぐに機長訓練やった時、俺も恵真も指導したんだよ。恵真から聞いてない?」
「はい、なにも」
「ふうん。まあ、恵真にとったら佐倉さん以外、みんな霞んで見えるんだろうな。ははは!」
それは否定出来ない、と舞は頷いた。
両親は何年経っても、夫婦というより恋人同士のような雰囲気で、いつも微笑んで互いに見つめ合う仲なのだ。
まさに運命の相手という言葉がぴったりで、舞の憧れでもあったが、果たして自分はここまでの人に出会えるのだろうかとも思う。
ましてや今は、パイロットとして学ぶことが多く、恋愛とも無縁の日々。
新しくやって来た機長の噂も、全く耳に入らなかった。
「伊沢キャプテン。この方も機長ということは、私はこの先フライトでご一緒させていただくかもしれませんよね?」
「うん、遅かれ早かれね。帰ったら美羽に聞いてごらんよ、相澤くんのこと。CAの間でも、かなり騒がれてたみたいだから」
「はい」
次にお会いした時にはきちんと謝らないと、と思い、舞は神妙に頷いた。