Good day ! 6
羽田への折り返し便は、21時過ぎ出発の最終便だった。

「きっと仕事を終えて、東京の恋人のところに向かう人もいるかもしれませんね」
「ああ、そうだな。平日の遅い時間なのに満席だ」

そんなことを話しながら、二人は息を合わせて那覇を離陸する。

途中のPAでは大翔が乗客に「サンタクロースの邪魔をしないよう、トナカイのルートを避けて飛んでおります」と真顔でアナウンスするものだから、舞は肩を震わせながら笑いを堪えていた。

やがて羽田空港が眼下に見えてくる。

最終着陸態勢に入り、キャビンにポーンとチャイムを鳴らした。

「Gear down」
「Roger. Gear down」

いつもの手順。
いつものやり取り。

ギアのスイッチを操作した舞は、全てのギアが無事に下りてロックされた「ダウン・アンド・ロック」を確認しようとランプに目をやって、ハッと息を呑んだ。

3つのギアポジションインジケーターのうち、左右のメインギアは緑色に変わったが、中央のノーズギアは赤く点灯している。

「キャプテン、ノーズギア、アンセーフです。Warninng, GEAR DISAGREE」

モニターに表示された警告を自分の目でも確かめた大翔が、冷静に舞に告げた。

「これよりNon-Normal Proceduresに移る」
「Roger」

まずは舞が管制官に状況を報告する。

「Tokyo Tower, JW1134. We have an unsafe gear indication. Request vectors to a holding area to run the checklist」
『JW1134, Roger. Fly heading 180, maintain 3,000 feet. Advise when ready for approach or if you need further assistance』
「Heading 180, maintain 3,000. Will advise, JW1134」

大翔が安全な高度と速度で操縦を継続し、舞は不具合に対応する電子チェックリストを呼び出した。

指示に従って二人で確認しつつ、操作を始める。

一度ギアを格納してから再度下ろしてみたり、ギア自体の重みで下ろしてみるが、ランプの色は変わらなかった。

大翔がキャビンに連絡し、乗客にも状況を説明するアナウンスを入れたあと、舞はカンパニーラジオで地上の自社整備士に相談する。

『オルタネートギアを試してもダメだったんですね。地上から目視で確認したいです。ローパスをお願い出来ますか?』

整備士の問いに、大翔はサムアップを舞に送る。

舞は管制官にリクエストした。
< 55 / 77 >

この作品をシェア

pagetop