Good day ! 6


「お二人とも、本当にお疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね」

乗客乗員の全員を無事に降ろしたあと、大翔と舞はオフィスに戻った。

ヒアリングを受け、ようやく解放された時には、深夜の2時を回っていた。

二人でタクシーに乗り込むと、大翔はまず舞のマンションに向かうように運転手に頼む。

「ありがとうございます」
「当然だ。せっかくのクリスマスイブなのに、すまない」
「いいえ、キャプテンのおかげで誰一人ケガもなく無事に下りられました。本当にありがとうございました」
「いや。君もよくやってくれた。怖かっただろう?」
「まさか、そんな」

そう言って首を振ったが、心配そうに見つめてくる大翔の眼差しに、思わず涙が溢れた。

大翔は腕を伸ばし、そっと舞の頭を抱き寄せる。

「怖くない訳がない。訓練を積んできたとは言え、実際にこんなことが起こったのは初めてだったんだろう? パイロットはいつだって冷静でなければいけない。多くの乗客と乗員の命を守らなければならない。そればかり頭にあったんだろう? 普通の女の子なのに。ものすごいプレッシャーの中、本当によくやってくれた。ありがとう。君と一緒だったから、俺も無事にシップを下ろせたんだ」

優しい言葉と大きな腕の温もりに、舞は言葉もなくポロポロと涙をこぼす。

そんな舞の頭をポンポンとなでてから、大翔はジャケットのポケットに手をやった。

「サンタクロースから預かったんだ。はい、これ」
「え?」

目の前に小さな箱を差し出され、舞はぱちぱちと瞬きを繰り返す。

突然のことに驚いて、涙がピタリと止まった。

「これって、なんですか?」
「だから、サンタクロースから預かったんだってば」

ぶっきらぼうにそう言うと、大翔は強引に舞の手に箱を握らせる。

舞はそっと箱のふたを開けてみた。

「えっ……」

中に入っていたのは、クリスタルのクリスマスリースのブローチ。

緑のリースに赤いポインセチアとゴールドのリボンが、窓からの月明かりを受けて輝いていた。

「わあ、きれい」

舞は満面の笑みを浮かべてブローチに魅入る。

「メリークリスマス。……って、サンタクロースが言っていた」

大翔の言葉に、舞は堪えきれずに笑い出す。

「ふふふ、ありがとうございます。って、サンタクロースにお伝えください」
「分かった」
「ありがとうございます、相澤キャプテン。メリークリスマス」
「ああ、メリークリスマス」

ようやく二人で視線を合わせて微笑んだ。
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