マモノ狩り或いは激情2オープンザゲート
記憶
ジムのトレーナー、アンジーは屈託なく笑う。顎には大きな絆創膏。
「いやー、すごいな。見えなかった。あんなパンチが打てるとは」
ミネアポリス最下層デアの地下闘技場の控え室の中である。
ランキング戦を終えたばかりのアンジーの感想である。
対戦相手の拳は、記憶喪失の青年である。訳あってアンジーのジム、チームガイツ預かりとなっていた。
「現役だったら躱せていただろうがな。
ブランクとは恐ろしいものだ」
アンジーは感嘆が止まらない。
デビュー戦がランキング戦、拳は破格の扱いを以て迎えられた。
フック気味のコークスクリューブロー、通称Lスマッシュ。
アンジーの顎先を的確に捉え、失神KOにより拳が勝ったのである。
その直後の話である。それで、とアンジー。
「記憶は戻ったかい?」
試合中の事、ガードポジションながら上になったアンジーは的確なパウンドを振り落としていた。あたかも、記憶を呼び覚ますかのように。
それが、呼び水となり拳の記憶はフラッシュバックしたのだった。
無敵丸弦尽。
それが名前だった。
現代の高校生。記憶の中ではそうだった。断片的ではあるが。
なんとなく、言うのが憚られ頭を横に振っていた。
「そうかい。なんかショックでも与えれば或いは記憶が戻るんじゃないかと思ったんだがね」
アンジーがそう言った時、控え室のドアがノックされた。
誰かが返事をして、若い男が入ってきた。
男は大会役員の者だと言う。
「デビュー戦、そしてランキング戦勝利おめでとうございます。大会本部から伝達がありまして」
若い男は拳に向かって話し掛ける。
「元チャンピオンであるアンジーさんに勝ったので、地下闘技場セブンスフロアガオディでのランキングが13位になりました!」
「いきなり13位かよッ!」
チュアンが驚いた声をあげる。
フロア内でランキングは50位まであるらしいので、いきなりの上位である。
「アンジーさんは復帰戦であり、この先出場するかどうかは知りませんが、拳さんの下14位とさせていただきました。
宜しくお願い致します」
それと、と話を続ける。
「登録名は“拳”さんで宜しいでしょうか?」
拳は少し逡巡して。
「拳ガイツでお願いします」と言った。
「拳ガイツーッ!?」驚きのアンジーである。
「おいらのジムの名を背負ってくれんのかい?」
「記憶を失くした僕に居場所をくれたので、恩返しのつもりです」
「嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか」
アンジーもまんざらでもないようだ。
「では、拳ガイツで登録しておきます」
そう告げると、本部の男は出ていった。
「いやー、すごいな。見えなかった。あんなパンチが打てるとは」
ミネアポリス最下層デアの地下闘技場の控え室の中である。
ランキング戦を終えたばかりのアンジーの感想である。
対戦相手の拳は、記憶喪失の青年である。訳あってアンジーのジム、チームガイツ預かりとなっていた。
「現役だったら躱せていただろうがな。
ブランクとは恐ろしいものだ」
アンジーは感嘆が止まらない。
デビュー戦がランキング戦、拳は破格の扱いを以て迎えられた。
フック気味のコークスクリューブロー、通称Lスマッシュ。
アンジーの顎先を的確に捉え、失神KOにより拳が勝ったのである。
その直後の話である。それで、とアンジー。
「記憶は戻ったかい?」
試合中の事、ガードポジションながら上になったアンジーは的確なパウンドを振り落としていた。あたかも、記憶を呼び覚ますかのように。
それが、呼び水となり拳の記憶はフラッシュバックしたのだった。
無敵丸弦尽。
それが名前だった。
現代の高校生。記憶の中ではそうだった。断片的ではあるが。
なんとなく、言うのが憚られ頭を横に振っていた。
「そうかい。なんかショックでも与えれば或いは記憶が戻るんじゃないかと思ったんだがね」
アンジーがそう言った時、控え室のドアがノックされた。
誰かが返事をして、若い男が入ってきた。
男は大会役員の者だと言う。
「デビュー戦、そしてランキング戦勝利おめでとうございます。大会本部から伝達がありまして」
若い男は拳に向かって話し掛ける。
「元チャンピオンであるアンジーさんに勝ったので、地下闘技場セブンスフロアガオディでのランキングが13位になりました!」
「いきなり13位かよッ!」
チュアンが驚いた声をあげる。
フロア内でランキングは50位まであるらしいので、いきなりの上位である。
「アンジーさんは復帰戦であり、この先出場するかどうかは知りませんが、拳さんの下14位とさせていただきました。
宜しくお願い致します」
それと、と話を続ける。
「登録名は“拳”さんで宜しいでしょうか?」
拳は少し逡巡して。
「拳ガイツでお願いします」と言った。
「拳ガイツーッ!?」驚きのアンジーである。
「おいらのジムの名を背負ってくれんのかい?」
「記憶を失くした僕に居場所をくれたので、恩返しのつもりです」
「嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか」
アンジーもまんざらでもないようだ。
「では、拳ガイツで登録しておきます」
そう告げると、本部の男は出ていった。
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