マモノ狩り或いは激情2オープンザゲート

記憶

 ジムのトレーナー、アンジーは屈託なく笑う。顎には大きな絆創膏。

 「いやー、すごいな。見えなかった。あんなパンチが打てるとは」

 ミネアポリス最下層デアの地下闘技場の控え室の中である。

 ランキング戦を終えたばかりのアンジーの感想である。
 対戦相手の拳は、記憶喪失の青年である。訳あってアンジーのジム、チームガイツ預かりとなっていた。

 「現役だったら躱せていただろうがな。
 ブランクとは恐ろしいものだ」
 アンジーは感嘆が止まらない。

 デビュー戦がランキング戦、拳は破格の扱いを以て迎えられた。
 フック気味のコークスクリューブロー、通称Lスマッシュ。
 アンジーの顎先を的確に捉え、失神KOにより拳が勝ったのである。
 その直後の話である。
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