幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係〜

お話34.子狐のキュン





 ある日のこと。

 恋は、子狐の姿で商店街へ来ていた。

 通りを行く人々は、とてとて歩く足元の狐に目を留めて、物珍し気にあれやこれやと噂していたが、しかし恋は気にも留めない。


 恋が向かったのは、魚屋だった。

 青魚に赤魚、しゃけに鯖にマグロなど、色々な魚が並べられている。

 魚屋の前まで来ると、恋は、立ち止まって座り込んだ。

 ここの店主は、気の良いおじさんで、商品にならなくなった魚いつも裏の野良猫に分けてやるのである。

 恋が狙っていたのはその魚だった。

 恋は、店の入口に座ったまま、前足で顔を掻いた。



 
 と、そこへ通りすがったのは宗介だった。

 宗介は眼鏡屋に眼鏡を取りに行った帰りに、魚屋の前に居る恋にでくわしたのである。

 イラっと来た宗介は、後ろからそっと恋に近づいていって、突然ふわりと恋を抱き上げた。


「何してんの?。恋。」


 怒り笑いで囁かれた言葉に、弱りきった恋はキューンと鳴きながら、宗介の腕の中でじたばたした。


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