幼馴染のち恋模様【完】

放課後の屋上________
いつもより強めに吹く風。
フェンス越しに見える校庭はオレンジ色に染まって部活に励むサッカー部員を照らしている。
コンクリートの地面には、制服を着た男女の影が伸びる。

「30歳になってもお互い相手がいなかったら・・・貰ってやるよ」

彼はこちらを見ずに缶ジュースを片手に軽い口調で告げた。
夕陽に照らされる横顔がいたずらにこちらを振り返る・・・


ピピピッ ピピピッ ピピピッ


「・・・ん」
カーテンの隙間から差し込む朝日が葵のさらりとしたアッシュブラウンの髪を包む。
ゆっくりと目を開けると、いつもの寝室。

(久しぶりに見たな・・・)

学生時代の淡い思い出を夢に見てスッキリしない気持ちで起き上がる。

柚月葵28歳。
毛の細いアッシュブラウンの髪は首元までの長さに落ちている。落ち着いた雰囲気だが意志の強そうな大きな瞳が印象的だと言われる。
私は地元のタウン誌の編集者として日々、馬車馬の如く働いている。地元であるこの霜月は大都市の外れにある下町エリアだ。高層ビル群が見える距離だがこのエリアは建物が低く、商店街なんかもある。私は生まれ育ったこの場所が大好きで地元の良さを広く伝えたいと思い編集者となった。

3月下旬の仲春らしい朝。今日も出勤のためベッドから出て支度を始める。


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