短編

7

「...まさか、ここで会うなんてね。」
人ごみの中、偶然見つけた君の姿に、思わず息を呑む。変わらない笑顔、少し伸びた髪。どれもが懐かしくて、胸が締め付けられるようだ。
「元気だったみたいで、何よりだよ。」
近づいて声をかけようか、それともこのまま立ち去ろうか。迷っている間に、君は他の誰かと楽しそうに笑い合っていた。その光景に、足がすくむ。
「僕のいない世界でも、君はちゃんと笑えているんだな...」
少しだけ、寂しさが胸に広がる。でも、それと同時に、君が幸せそうで良かったという気持ちも確かにある。
「じゃあ、僕はここで...」
そっと踵を返し、君に気づかれないようにその場を離れた。振り返ることはしない。君の幸せな笑顔だけを胸に、静かに歩き出す。
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