天国の彼に似ている君へ。笑顔の裏で、校長先生は今日も涙を隠して爆走する。

エピローグ:たった一人の読者さまへのあとがき

おう。

長い話を最後まで読んでくれて、ありがとな。

この物語は、アタシが初めてマトモに書いた、学園ラブコメだ。
なに!? 全然ラブコメじゃないって?
エロ小説ばっか書いてるアタシにしては、なかなかのもんじゃないか?
だいたい、先生と生徒にまつわるエピソードだから、いつもと違って表現はだいぶオブラートに包んだつもりだ。安心してくれ。

アンタも知っての通り、二〇二六年度の生徒会が発足し、学校の改革はそこそこうまく進んでいる。

わが”愛求学園”。

その建学精神、“愛の探求”に立ち戻り、それを実践していくために必要な取り組みが具体化され、できるところからどんどん始めている。それだけじゃなく、先生たちに働きかけ、教育プログラムや評価制度にも反映させるところまで来ている。
アンタが提案した新評価指標、『IQ(愛求)指数』は、他校にはないユニークな評価システムだろうな。『ルダス、プラグマ、ストルゲ、アガペー、エロス、マニア』の六つの愛の指標に基づき、『誰に、どんなバランスで愛を育んだか』を自己評価でチャート化する。相手に対する『思いやり、尊重』もポイント化し、これらを合わせた指標が『IQ(愛求)指数』だ。自分の愛の探求度が今、どうなっているかを見える化して、今後に生かすだけでなく、大学への学校推薦を決める判断基準としても活用する予定だそうだ。ハルねえさま、じゃなかった校長先生もよく採用に踏み切ったもんだ。

なにせこのメンバーなので、生徒会のチームワークは大丈夫なのかとアンタも危惧してたが、けっこうアタシたちは、うまくやってるんじゃないか?……アタシがエロ小説家だってことは、ウズメにも身バレしたがな……まあ彼女とは微妙な均衡関係だ。アンタはせいぜいタケルには気をつけることだな、一応アンタとアタシはつき合っていることにしているが、まあそのうちアンタに執拗にアプローチしてくることは間違いないだろう。そうなったら生徒会内BL小説のネタにしてやっから安心しておくれ。

小説と言えば、せっかく変なメンツが揃った変な高校に入ったんだから、これからこの学園で起きることをストーリー化して、『ぶっとび校長先生』の続編を書きたいと思っている。こうご期待。

『ぶっとび』を書くうえで何に苦労したかって?
あたりまえじゃねえか!……恥ずかしがって嫌がるアンタを脅して、ハルねえさまとのことを洗いざらい吐かせたことに決まってんだろ……一方、ねえさまは嬉しそうに、あることないことベラベラ喋ってくれたから楽だったが。

アンタも、もうわかってると思うが、ハルねえさまは自分の弱さを人に見せないようにしている意地っ張りだ。
ねえさまを守れるのはアンタだけだ。くれぐれもよろしく頼む。

え、『何でこのあとがきを読んでいるのが僕だってわかるのか』って?
あったりまえだろ、この話はまだ、どのサイトにも投稿してないんだから。
アタシは知ってるぜ(ニヤリ)。アンタが家庭教師している時に、アタシのパソコンのIDとパスワードを盗み見してたことを。

まあ、いずれにしても、アンタがこの物語の最初の読者になってくれて本望だ。感謝する。
これからもよろしくな。

         ケンにいさまに、愛を込めて。

         ばかりん さくら こと  桜羽 夏鈴
 
(了)
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