腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「まさかこんな身近に仲間がいるなんて思わなかったよ。桜庭さん、全然ヲタクに見えないからさ。BL好きだって教えてくれたらよかったのに」

それはちゃんと一般的な大人な女性に擬態できているということで安心した。
同時に自分が勝手に気にしすぎていたことも分かり、これからはあまり気にせずにいようと思った。

「今思えばそうですよね。すみません。ずっと黙ってて…」

「言いづらい気持ちも分かるし、後になっての祭りよね。よかった。職場でBLの話ができる人がいて」

「そうですね。私も話せる人がいて嬉しいです」

自分の事情を包み隠さずに話しただけで、今まで以上に職場の人との距離が縮まった。
本当に私は運に恵まれている。周りに良い人達に囲まれているなと実感させられた。

「桜庭さん、シフトについて話しましょうか」

店長が声をかけてくれた。これからシフトについて話さなくてはならない。本業にも書店にも迷惑をかけないようにするために。

「はい。お願いします」

バックヤードで店長とパソコンの前に腰掛けて二人で話す。

「桜庭さん。これからについて話したいなと思います。桜庭さんは面接をした時から漫画家のお仕事をされていることを知った上で雇いましたので、こちらのお仕事についてはいずれ辞めることを了承しています。
とはいえども急にいきなり辞めるってことはできないので、なるべく早めに相談してください。そうしてもらえるとこちらとしては助かります」

それはもちろん分かっている。以前の職場でもそうだったし、会社ってところは手続きなどがあり、色々な手順を踏まないと辞めることはできない。
いくらパートとはいえども、一応ちゃんと働いているので、立派な社会人だ。そんな簡単に今日で辞めますなんてこと、(まか)り通るわけがない。
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