知りたガール・博士ちゃんのサイエンス・ラボ
6 最終検証
上下とも黒い服に身を包んだアンペールは、まぶしそうに電灯の光から目を背けていた。
しかし、声の主がボルタだと分かると、緊張の色をより濃くした声音を出した。
「は、博士! これには海より深いワケが…‼」
ボルタは研究所内に響きわたるような大声を上げた。
「何を今さら!?
問答不要、現行犯でタイホだぁッ‼」
「誤解なんです!」
ボルタがアンペールに向けて銃型のスタンガンを突きつけると、アンペールは電灯の照射範囲外に飛びかかった。
「離せ!」
「大人しくしろ!」
「何をしているんだ!?」
ボルタが再びアンペールに懐中電灯を向けると、アンペールは腕をひねり上げた黒い影をボルタの前に突き出した。
「⁉」
「私が探していたのはシャーレじゃない。
この女です!」
アンペールはボルタの目の前で、黒い影がつけていた仮面を勢いよく引きはがした。
「クウッ。」
「キミは…!」
ボルタは驚いて口をつぐんだ。
目の前でアンペールに逆手を取られて顏を歪ませているのは、つい最近、アンペールに紹介されたレジストだった。
レジストは美しい眉間にシワを寄せて変貌し、アンペールに向かって激しく咆哮した。
「私がライバル大学のスパイだと、いつから気づいていたの⁉」
いきり立つレジストとは対照的に、アンペールは静かに冷ややかな眼差しを彼女に向けた。
「先月です。
研究室の机の下に盗聴器が仕掛けられていた時からね。」
ボルタは先月の実験室でのアンペールの挙動を思い返した。
(まさか、あの時か?)
研究室の入り口では騒ぎに駆け付けたオメガが、「女は怖いわね。」とつぶやき、成り行きを見守っている。
アンペールは静まり返る研究室で、
ボルタをまっすぐに見つめて想いを吐露した。
「博士に研究に集中してほしくて、秘密裏に調べていたんだ。」
「じ、じゃあ助手を辞めたのも?」
「敵を騙すにはまず味方から、ですよね。」
「正直、ボルタ博士の発言には少々…いや大いに傷つきましたけど、博士の助手は私以外できません。」
言葉に詰まったように、一度つばを飲み込んだアンペールは次の瞬間、目をギュッと瞑り顏を真っ赤にした。
「私は博士の研究を愛しています!」
キュン!
確かに聴こえた。
この音は
この痛みは
このときめきは――
「アワワワ!」
そして、ボルタは分かりやすくパンクして壊れた。
「もうッ、世話が焼けるんだからぁ!」
ボルタたちの動向を陰で見守っていたオメガが、鋭く叫んだ。
く
「アンペールちゃん、今よ!」
「オメガ、なぜ君が?」
「黄身も白身もないわ!
男なら、バシッと決めてきなさい!!」
文字通りオメガに背中を押されたアンペールは、銀色のフォークを握りしめてボルタの前に立った。
「博士、舌を出してください!」
「べー。」
素直に舌をペロリと突き出すボルタ。
そのピンクの舌の上に銀色のフォークが乗せられると、ボルタの全身が総毛だった。
「電気信号フォーク、発動‼」
アンペールが叫んだ途端、ボルタは電気ショックに貫かれたようにガクガクと痙攣をした。
「ふああああ!」
目にたくさんの星が飛んだボルタは頬を両手で挟んで宙に飛んだ。
「スペシャル☆あんまーい‼」
♢
「この結果は博士が私に恋をしたということですか?」
レジストからシャーレを取り返したあと、研究所は特定の振動する機械音が響くいつもの静かな空間に戻った。
紅茶を用意してボルタの隣に座ったアンペールは、おもむろにボルタを問い詰めた。
「…。」
ボルタは答えない。
アンペールは意を決してボルタの手を握ろうとした。
「実は私もボルタ博士のことが…。」
「アンペール、協力ありがとう!」
「え?」
アンペールから逃げるように実験台の椅子を立ちあがったボルタは、無邪気な笑顔を輝かせた。
「次は『伝説の味』の検証だな‼」
アンペールは膝からガクリと崩れ落ちた。
「嘘だろ…告白したのに全然響いていない!」
キッとボルタをにらんだアンペールは自分のデスクの荷物をまとめ始めた。
「もう、博士にはついて行けません‼」
「ったく。」
ボルタはスカイブルーの髪をかきむしると、アンペールの横に立った。
「ボクはオマエが助手じゃなきゃダメなんだよ!」
「え?」
アンペールが耳を疑った瞬間、フワリとボルタの柔かい髪が鼻をくすぐり、ありえない感触が唇に触れた。
「ガタガタ言わずについてきたまえ♡」
「い、今…あの…エヘッ…。
はい! 一生ボルタ博士についていきますッ‼」
「あのコたち、ついに『恋の味』を発現できたみたいね。」
研究室の隣の準備室では寝たフリをしながら聞き耳を立てていたオメガ。
「実験で大切なのは過程じゃないわ。
最後に大切なのは、お互いの熱いハートなのよ~♡」
しばらくして
オメガは大きなゲップを吐き出した。
「やーん、ごちそうさま!!
あんな装置を使わなくても、見てるだけでもお腹いっぱいよ~!」
<終>
しかし、声の主がボルタだと分かると、緊張の色をより濃くした声音を出した。
「は、博士! これには海より深いワケが…‼」
ボルタは研究所内に響きわたるような大声を上げた。
「何を今さら!?
問答不要、現行犯でタイホだぁッ‼」
「誤解なんです!」
ボルタがアンペールに向けて銃型のスタンガンを突きつけると、アンペールは電灯の照射範囲外に飛びかかった。
「離せ!」
「大人しくしろ!」
「何をしているんだ!?」
ボルタが再びアンペールに懐中電灯を向けると、アンペールは腕をひねり上げた黒い影をボルタの前に突き出した。
「⁉」
「私が探していたのはシャーレじゃない。
この女です!」
アンペールはボルタの目の前で、黒い影がつけていた仮面を勢いよく引きはがした。
「クウッ。」
「キミは…!」
ボルタは驚いて口をつぐんだ。
目の前でアンペールに逆手を取られて顏を歪ませているのは、つい最近、アンペールに紹介されたレジストだった。
レジストは美しい眉間にシワを寄せて変貌し、アンペールに向かって激しく咆哮した。
「私がライバル大学のスパイだと、いつから気づいていたの⁉」
いきり立つレジストとは対照的に、アンペールは静かに冷ややかな眼差しを彼女に向けた。
「先月です。
研究室の机の下に盗聴器が仕掛けられていた時からね。」
ボルタは先月の実験室でのアンペールの挙動を思い返した。
(まさか、あの時か?)
研究室の入り口では騒ぎに駆け付けたオメガが、「女は怖いわね。」とつぶやき、成り行きを見守っている。
アンペールは静まり返る研究室で、
ボルタをまっすぐに見つめて想いを吐露した。
「博士に研究に集中してほしくて、秘密裏に調べていたんだ。」
「じ、じゃあ助手を辞めたのも?」
「敵を騙すにはまず味方から、ですよね。」
「正直、ボルタ博士の発言には少々…いや大いに傷つきましたけど、博士の助手は私以外できません。」
言葉に詰まったように、一度つばを飲み込んだアンペールは次の瞬間、目をギュッと瞑り顏を真っ赤にした。
「私は博士の研究を愛しています!」
キュン!
確かに聴こえた。
この音は
この痛みは
このときめきは――
「アワワワ!」
そして、ボルタは分かりやすくパンクして壊れた。
「もうッ、世話が焼けるんだからぁ!」
ボルタたちの動向を陰で見守っていたオメガが、鋭く叫んだ。
く
「アンペールちゃん、今よ!」
「オメガ、なぜ君が?」
「黄身も白身もないわ!
男なら、バシッと決めてきなさい!!」
文字通りオメガに背中を押されたアンペールは、銀色のフォークを握りしめてボルタの前に立った。
「博士、舌を出してください!」
「べー。」
素直に舌をペロリと突き出すボルタ。
そのピンクの舌の上に銀色のフォークが乗せられると、ボルタの全身が総毛だった。
「電気信号フォーク、発動‼」
アンペールが叫んだ途端、ボルタは電気ショックに貫かれたようにガクガクと痙攣をした。
「ふああああ!」
目にたくさんの星が飛んだボルタは頬を両手で挟んで宙に飛んだ。
「スペシャル☆あんまーい‼」
♢
「この結果は博士が私に恋をしたということですか?」
レジストからシャーレを取り返したあと、研究所は特定の振動する機械音が響くいつもの静かな空間に戻った。
紅茶を用意してボルタの隣に座ったアンペールは、おもむろにボルタを問い詰めた。
「…。」
ボルタは答えない。
アンペールは意を決してボルタの手を握ろうとした。
「実は私もボルタ博士のことが…。」
「アンペール、協力ありがとう!」
「え?」
アンペールから逃げるように実験台の椅子を立ちあがったボルタは、無邪気な笑顔を輝かせた。
「次は『伝説の味』の検証だな‼」
アンペールは膝からガクリと崩れ落ちた。
「嘘だろ…告白したのに全然響いていない!」
キッとボルタをにらんだアンペールは自分のデスクの荷物をまとめ始めた。
「もう、博士にはついて行けません‼」
「ったく。」
ボルタはスカイブルーの髪をかきむしると、アンペールの横に立った。
「ボクはオマエが助手じゃなきゃダメなんだよ!」
「え?」
アンペールが耳を疑った瞬間、フワリとボルタの柔かい髪が鼻をくすぐり、ありえない感触が唇に触れた。
「ガタガタ言わずについてきたまえ♡」
「い、今…あの…エヘッ…。
はい! 一生ボルタ博士についていきますッ‼」
「あのコたち、ついに『恋の味』を発現できたみたいね。」
研究室の隣の準備室では寝たフリをしながら聞き耳を立てていたオメガ。
「実験で大切なのは過程じゃないわ。
最後に大切なのは、お互いの熱いハートなのよ~♡」
しばらくして
オメガは大きなゲップを吐き出した。
「やーん、ごちそうさま!!
あんな装置を使わなくても、見てるだけでもお腹いっぱいよ~!」
<終>
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