【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
こんなに誰かに求められたことなんて今までなかった。

なんとなく付き合って、なんとなく別れて、そんなのばかりだった。

社会人になってからは恋愛はしていない。

本気で恋をしたことがない。

だから、勇凛くんの真剣さが、胸に響く。

頭では否定してるのに、心は嘘をつけない。

ただ、好きかというと、それはわからない。

「勇凛くん、ありがとう。真剣に私との未来考えてくれて」

プロポーズすることも、結婚することも、凄く勇気がいることだ。私もちゃんと答えないと。

「勇凛くん、時間もらってもいいかな。私も真剣に考えたいから」

「はい。待ちます」

勇凛君は穏やかな顔で頷いた。

───

そのあと、私と勇凛くんは人生ゲームを最後までやった。

順風満帆な勇凛くんは、大量に資産を保有したままゴールした。

私は借金まみれだった。

「勇凛くんって、くじ運とかよかったりする……?」

「そうですね……当たる方だとは思います」

二人で人生ゲームを片付けた。

わざわざ私のために買ってきてくれた。

出会って数日の私に──

「勇凛くんはなんで私と結婚したいの?私の事ほとんど知らないのに」

「初めて七海さんを見た時は、いいなって思っただけでした。でも、その帰りに七海さんとまた会った時に、運命だって思ったんです」

運命。
私にはよくわからない。

「でも恋がしたいんだよね?そう言ってたよね?」

「はい。結婚してからでも恋はできると思います」

順番は間違っている。

でも、そんな恋の形もあるんだろうか。

「すみません、今日バイトで、夜まで一緒にいられないんです」

俯く勇凛くん。

「うん。大丈夫だよ。ありがとう。側にいてくれて」

「妻が入院してるんだから当たり前ですよ」

「……そうだね」

そのあと、今度はクロスワードの雑誌を買ってきてくれて、一緒に解いていた。

暖かい時間だった。

「じゃあ、そろそろ行きます。これは邪魔だと思うので持って帰ります」

紙袋に入った人生ゲーム。

「退院したらまたやろうか」

勇凛くんの瞳が輝いた。

「はい!」

優しい笑顔の勇凛くん。

エレベーターの前で見送った。

自分の心の中に、芽生えている気持ち。

それを大切にしたいと思った。
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