前世王子アイドルグループ~僕たちは君の一番星になりたい☆。.:*・゜
 夢のような風景だ。他のメンバーはお互いを撮りあっている。僕はカメラから離れてスマホの方の録画ボタンを押した。

 最初は画面の中に映るメンバーと目が合うだけですごく緊張して、青い空やキラキラ輝く湖などの風景だけを撮っていたけれど。演技とは思えないぐらいに楽しそうに撮っている四人を見ていたら、僕も自然と気持ちが盛り上がり、憧れの四人を気がつけば夢中で撮っていた。 時間はあっという間に過ぎていき、辺りは薄暗くなっていた。撮影も一段落。そたくんは全員分のスマホを回収して「編集よろしくね」と、マネージャーに渡した。

――そっか、僕じゃないんだ。

 そうだよね……これは放送部として撮ったものだと思っていたから僕が編集するのかな?って思っていた。だけど、プリレボのメンバーが映っているし、それが学校のみんなに公開されるのだから失敗はできない。それに、僕はたくさんのデータを取り込んで編集することはしたことがない。僕なんかが触るデータではない。そんなこと、考えれば当たり前のことなのに、考えていると少し落ち込んできた。

「みんなお疲れ様!」

 そたくんがそう言ったあと、続けて僕を見て首をかしげた。

「いつきん、どうしたの?」
「いや、別に。何もない、です……」

 そたくんは全体をしっかり見ていて、誰かの些細な変化も見逃さない。僕は笑顔を無理して作った。

 車に乗り、最初に僕の家へ向かった。

やっぱり今日撮った動画を編集してみたい。
挑戦してみたい。

そして使わなかったシーンも永久保存版にしたい。ずっと車の中でもやもやとそんなことを考えていた。

 そして何も言えないまま僕の家に着いた。車のドアが開き、僕は車から降りる。

 今ならまだ間に合うかな……。
 勇気を出してお願いしてみようかな。

「あの……」

 全員の視線が僕に集まる。全員の視線をいっきに浴びると、なんていうか、縮こまって押しつぶされるような感じになる。まして場違いな発言をしようとしているし。

「いつきくん、深刻な顔して大丈夫?」と、みずっきくんにそう聞かれるほどに顔がひきつっていた。手も震えた。でも、伝えないと後悔しそうだから、伝えたい。

「あの……今日撮った動画……編集したい、です!」
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