『女神の加護を 受けし者は世界を救う』

④結:魔王復活


この世界レティッシラ。
女神レイラリュシエンヌ様の加護を受け、聖女として認められた私エルティナ。
魔王リューテサッセウスの復活まで猶予がなく。
学園での生活を送りながら、神官ライオネル様からの補佐を受け。
聖女として、リセ様の模範に習って生きる。

勇者ジークハルト。魔法使いのマリー。
学園の卒業後、彼らと冒険の旅に出て、魔王城への道のりを歩む。
その前に情報の交換を繰り返し。
時にギルドからの要請で、共に依頼を受けて国民を救う。
学園と神殿で精一杯だったリセ様になかった役割。
けれど、王子ユーリスの婚約者だった私には、本来救うべきはこの国民。
失った未来での役割を、果たせなかった代わりに。
今、私に出来る事を。

「聖女レルティナ、何故そんなに無茶をするんだ?」
無茶。強引だったのは認める。
だけど、勇者を喪うわけにいかない。
この世界を救わなければならないから。
「ごめんなさい、どうすればもっと上手く協力できるか教えてください。」
頭を下げ、私は返事を待つ。
「今日は、ライオネル様はいないの?」
魔法使いマリー。
それは、ライオネル様の教育を問うためだろうか。
顔を上げ、視線を向けるとマリーは優しい微笑みを見せる。
「注意してもらわなきゃ、大事な聖女様を喪うわけにはいかないからね。」
あぁ、誰も欠けてはいけない。
この世界を救うためには。
「マリー、聖女様を頼む。少し矢の補充をしてくるから。」
「えぇ。ついでに訓練が終わった報告もお願い。」
勇者ジークハルトとマリーの連携はとれている。
それに私と、他の追随する者が増えれば。
もう出発の日も決まり、猶予などない。
「ねぇ、聖女様。教えられないなら、言わなくてもいいんだけど。女神レイラリュシエンヌ様の加護はあるのよね?」
マリーの質問の意図が分からない。
「聖女として相応しくない答えかもしれない。けれど、あなたと死線を渡るから嘘偽りなく答えると。自覚がない。」
そう。多分、聖女リセ様を見たから。
私は違う。なれない。同じではない。
「……与えられた物を何か、その。持っていないのですか?」
物?加護とは。
答えに困っていると、マリーは青ざめ。
口に手を当てて、その場に崩れるようにして座り込む。
「大丈夫ですか、誰かを呼んで。あ。」
「マリー!」
戻ってきた勇者ジークハルトと、神官ライオネル様。
何があったのか聞かれたけれど、私にも分からない。


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