婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
この世の中、どの職業も大変で大きな責任が伴うと思うけれど、パイロットは大きな機体に多くの人々を乗せ、命を預かって空を飛ぶ。

体調管理はもちろん航空無線通信士など様々な資格、訓練も必要不可欠だ。

乗客全員を安全に目的地へ送り届けるのは、非常に重い責任と緊張がつきまとうと空港内で職務に携わる際、いつも思う。

もちろんパイロットだけが飛行機を動かしているわけではない。

航空整備士、管制官や運行管理者、客室乗務員、グランドスタッフ、航空業界で働く多くの人たちが関わり協力している。

三年前に病死した私の父がスターブルー航空の運行管理者で、今日はこれから雨が降るよ、などとよく天気を予想して教えてくれた。

そのせいか、父を思い出すときはいつも飛行機と空が同時に思い浮かぶ。

進路を考える際に父と同じ道に進むか考えたが、私は別の道を選んだ。

学生時代の旅行で、目的地までの電車の乗り継ぎがよくわからず空港で迷っていた私を、ひとりのグランドスタッフが助けてくれた。

知らない場所で不安を感じていた私をさりげなく気遣い、とても親切に行き方を教えてくれた。

落ち着いて考えれば、スマートフォンで調べるなど方法はいくらでもあったのに、そのときは焦っていたせいか、まったく思いつかなかった。
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