悪女と罵られたので退場させていただきます!
19.同じドレス4
「これは何事だ?」
異様な空気と静まり返った会場に、威厳と低い声が会場中に響き渡りました。声の方向へ顔を上げるとそこにはアクア王国の国王陛下のお姿が。どうやら騒ぎを聞きつけて駆けつけてこられた様子ですわ。国王陛下自らが騒ぎを収めるために奔走されるとは思いもしませんでしたわ。バカな息子を持ったせいで気苦労が耐えませんわね。お気の毒に……。自業自得ではありますが同情しますわ。
国王陛下は宰相から会場の様子を聞くと王太子殿下の方へ歩み寄ります。
「今すぐに会場から出て行きなさい」
「父上!?」
「今日のパーティーに参加する資格はお前達にはない」
そう言い放ち、国王陛下は有無を言わさず近衛兵達に命令し、王太子殿下とミレイ側妃を会場から連れ出しました。
最後まで反対したのはミレイ側妃で、「あの女のせいで!」「ただドレスが偶然被っただけなのに!なんで!?」などと捲し立てていましたが、近衛兵達はそんな戯言に取り合う気配はありませんでした。当然ですわね。彼らは陛下の命令で動いているんですもの。ミレイ側妃が両腕を拘束される姿が遠目にもわかりましたわ。ご愁傷様です。
結局、二人から謝罪の言葉はありませんでした。
終始、ドレスが被っていることにばかり目がいっていましたが、それだけでない事には気付かなかったようです。もっともあの様子では、知らなかった可能性は高いでしょうけれど……。
「ヴァレリー公爵令嬢、不愉快な思いをさせて申し訳ない。どうか許して頂きたい」
元凶の二人が退場した後、陛下から謝罪されました。
流石に頭は下げられませんでしたが、それだけで充分。一国の国王が公の場で謝罪する事だけでも異例です。ましてや他国の貴族に対しての謝罪です。国王としての権威を下げる行いだと分かっていてもソレをするしかない。どうやら国王陛下は私のドレスの意味を御存知のようです。
「いいえ、こちらも少々大人げない態度でしたわ。本来なら先に御挨拶の言葉を申し上げるべきところ、お騒がせしてしまった事、誠に申し訳ございません」
「いや、悪いのはこちらの方だ。アレらが礼を欠いた振る舞いをして大変失礼した。まさかヴァレリー公爵家の家紋入りのドレスを着てくるとは……」
「陛下の御心は大変有り難く頂戴致しましたわ。先程は少々言葉が過ぎました」
「こちらの不手際だ、気にしないでいただきたい」
「そう言っていただけるとこちらも救われます」
国王陛下が私の意図に気付いたようですね。あとは対処するだけですわね。まぁミレイ側妃の事ですから自分が悪い事をしたなど一切思っていないでしょう。彼女を庇う人間は王太子以外いません。二人を庇えば帝国貴族、それも皇室所縁の公爵令嬢に対する不敬と判断されますものね。そこまでして二人を庇う貴族はいないでしょうが。王太子を傀儡にしてアクア王国を操ろうと目論む貴族もこれでかなり減るでしょう。担ぐ神輿が軽すぎるのは問題ですもの。
後日、陛下から私と同じドレスを着て参加したことに厳重注意され謹慎処分に。
妻の行動を制御できなかったという事で、王太子殿下も謹慎処分になったそうです。
もっとも、ミレイ側妃は「どうして?」「私は悪くない!」と私室で騒いでいるとか。処分を不服に思っている様で“注意を聞き入れる姿勢ではない”と判断され、最終的に公の場への出席禁止を言い渡されたそうです。
「これほどの無礼を働いておきながら謹慎処分だなんて!」
「公式の場に出禁になったから何だと言うのでしょう?当然の事でしょうに」
「甘すぎる処罰です!」
メイド達は不満を口々に言っています。
今までの彼女の言動はアレですから。致し方ない事でしょう。けれど、国王の顔を立てるためにも厳罰を求めることはできません。公の場で一国の王が謝罪した。この一点が重要なのです。
「国王陛下の謝罪は受け入れたのです。これ以上を求めてはいけないわ」
「ですが!」
「陛下も公の場で謝罪をなさった。それ以上の罰を求める事は、国王陛下のお顔に泥を塗る事になるの」
「「「!!」」」
私の言っている意味を理解したメイド達は悔しがりながらも納得してくれました。
これでミレイ側妃は公の場に出られなくなった。それはアクア王国にとっては僥倖なのかもしれない。騒動の原因がいなければアクア王国が糾弾される事はなくなるのですから。そう考えると、国王陛下としても彼女の存在は疎ましいものなのでしょう。当然ですが。それでも愛息子が選んだ妻。無下にはできない。ある意味、今回の一件は国王陛下としても渡りに船だったのかもしれませんわね。
側妃に甘い王太子であっても国王陛下の命令に背く事はできませんもの。
ミレイ側妃は暫く荒れるでしょうね。
もし、彼女がもう少し利口な人物であれば、ここまで騒ぎは大きくならなかったでしょう。私の言葉を素直に受け入れ、謝罪をし、会場を出て行ったはず。表向き反省した態度でいれば宜しかったものを。けれど、ミレイ側妃はそうではなかった。残念です。
異様な空気と静まり返った会場に、威厳と低い声が会場中に響き渡りました。声の方向へ顔を上げるとそこにはアクア王国の国王陛下のお姿が。どうやら騒ぎを聞きつけて駆けつけてこられた様子ですわ。国王陛下自らが騒ぎを収めるために奔走されるとは思いもしませんでしたわ。バカな息子を持ったせいで気苦労が耐えませんわね。お気の毒に……。自業自得ではありますが同情しますわ。
国王陛下は宰相から会場の様子を聞くと王太子殿下の方へ歩み寄ります。
「今すぐに会場から出て行きなさい」
「父上!?」
「今日のパーティーに参加する資格はお前達にはない」
そう言い放ち、国王陛下は有無を言わさず近衛兵達に命令し、王太子殿下とミレイ側妃を会場から連れ出しました。
最後まで反対したのはミレイ側妃で、「あの女のせいで!」「ただドレスが偶然被っただけなのに!なんで!?」などと捲し立てていましたが、近衛兵達はそんな戯言に取り合う気配はありませんでした。当然ですわね。彼らは陛下の命令で動いているんですもの。ミレイ側妃が両腕を拘束される姿が遠目にもわかりましたわ。ご愁傷様です。
結局、二人から謝罪の言葉はありませんでした。
終始、ドレスが被っていることにばかり目がいっていましたが、それだけでない事には気付かなかったようです。もっともあの様子では、知らなかった可能性は高いでしょうけれど……。
「ヴァレリー公爵令嬢、不愉快な思いをさせて申し訳ない。どうか許して頂きたい」
元凶の二人が退場した後、陛下から謝罪されました。
流石に頭は下げられませんでしたが、それだけで充分。一国の国王が公の場で謝罪する事だけでも異例です。ましてや他国の貴族に対しての謝罪です。国王としての権威を下げる行いだと分かっていてもソレをするしかない。どうやら国王陛下は私のドレスの意味を御存知のようです。
「いいえ、こちらも少々大人げない態度でしたわ。本来なら先に御挨拶の言葉を申し上げるべきところ、お騒がせしてしまった事、誠に申し訳ございません」
「いや、悪いのはこちらの方だ。アレらが礼を欠いた振る舞いをして大変失礼した。まさかヴァレリー公爵家の家紋入りのドレスを着てくるとは……」
「陛下の御心は大変有り難く頂戴致しましたわ。先程は少々言葉が過ぎました」
「こちらの不手際だ、気にしないでいただきたい」
「そう言っていただけるとこちらも救われます」
国王陛下が私の意図に気付いたようですね。あとは対処するだけですわね。まぁミレイ側妃の事ですから自分が悪い事をしたなど一切思っていないでしょう。彼女を庇う人間は王太子以外いません。二人を庇えば帝国貴族、それも皇室所縁の公爵令嬢に対する不敬と判断されますものね。そこまでして二人を庇う貴族はいないでしょうが。王太子を傀儡にしてアクア王国を操ろうと目論む貴族もこれでかなり減るでしょう。担ぐ神輿が軽すぎるのは問題ですもの。
後日、陛下から私と同じドレスを着て参加したことに厳重注意され謹慎処分に。
妻の行動を制御できなかったという事で、王太子殿下も謹慎処分になったそうです。
もっとも、ミレイ側妃は「どうして?」「私は悪くない!」と私室で騒いでいるとか。処分を不服に思っている様で“注意を聞き入れる姿勢ではない”と判断され、最終的に公の場への出席禁止を言い渡されたそうです。
「これほどの無礼を働いておきながら謹慎処分だなんて!」
「公式の場に出禁になったから何だと言うのでしょう?当然の事でしょうに」
「甘すぎる処罰です!」
メイド達は不満を口々に言っています。
今までの彼女の言動はアレですから。致し方ない事でしょう。けれど、国王の顔を立てるためにも厳罰を求めることはできません。公の場で一国の王が謝罪した。この一点が重要なのです。
「国王陛下の謝罪は受け入れたのです。これ以上を求めてはいけないわ」
「ですが!」
「陛下も公の場で謝罪をなさった。それ以上の罰を求める事は、国王陛下のお顔に泥を塗る事になるの」
「「「!!」」」
私の言っている意味を理解したメイド達は悔しがりながらも納得してくれました。
これでミレイ側妃は公の場に出られなくなった。それはアクア王国にとっては僥倖なのかもしれない。騒動の原因がいなければアクア王国が糾弾される事はなくなるのですから。そう考えると、国王陛下としても彼女の存在は疎ましいものなのでしょう。当然ですが。それでも愛息子が選んだ妻。無下にはできない。ある意味、今回の一件は国王陛下としても渡りに船だったのかもしれませんわね。
側妃に甘い王太子であっても国王陛下の命令に背く事はできませんもの。
ミレイ側妃は暫く荒れるでしょうね。
もし、彼女がもう少し利口な人物であれば、ここまで騒ぎは大きくならなかったでしょう。私の言葉を素直に受け入れ、謝罪をし、会場を出て行ったはず。表向き反省した態度でいれば宜しかったものを。けれど、ミレイ側妃はそうではなかった。残念です。