総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



短い沈黙。それから叶兎くんはふっと鼻で笑って、顔を近づけてきた。

唇が首の噛み跡のすぐ横に落ちる。



「っ……!」



そのまま跡をなぞるように舌が触れ、ぞくりと背筋が震えた。

車の中、駐車場でこんな事して...誰かに見られたら...という考えが頭をよぎるが、叶兎くんはお構い無しだ。



「ん、っ…ちょ、ちょっと──」

「……嫌?」



顔を上げずに聞いてきた。首元に吐息がかかる。


嫌かと聞かれて嫌だと言えるわけがない。………だって叶兎くんだから。



「………俺、怒ってんの。心配で駆けつけたら他の男に触られてるし」

「た、たしかに琥珀は距離感ちょっとおかしいけど…悪気はないっていうか…」

「分かってて放置してたわけ。」



声が低くなる。

……これ、責めているというより、拗ねているに近いのでは。



「…別にさ。胡桃の気持ちを疑ったことはないけど…」



言葉が途切れて、珍しく歯切れが悪い。


視線が一瞬だけ気まずげに逸らされて。

叶兎くんらしくないその様子に、私は鼓動が高鳴るのを感じた。



「胡桃、可愛いから……いろんな男が寄ってきて、ホント、気が気じゃない…」



ぼそっと、叶兎くんが呟く。





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