Bella Notte
 桜井からのメッセージ。
 相変わらずのそっけない感じがジワジワと笑いを誘った。

『パリだけど。フライトで』
 そう返信して、ついでに今朝撮った雨の街の写真を送ってやる。

 すると雨に濡れた凱旋門の写真が送られてきた。
『俺も撮影でパリ』

 少し驚いて、メッセージを打つ手が止まった。
『少し逢えないか?』
 すかさず重ねてくる。

 しばらく、考えた。
『ごめん、明日日本へフライトなんだ。今日はもう完全オフで今からルームサービス食べて休む所』

 本当は少しでいいから顔を見たかったけれど、ステイ先だし気は抜けない。
『日本に帰国した後、一度会おう』
 と送る。
『わかったフライト頑張って』
 素直に引き下がってくれた。

『ありがとう、桜井も撮影頑張ってね』

 スマートフォンをベッドの上に放り投げてダイブする。

 翌朝軽く朝食をとった後、空港へ向かう準備をした。
 お昼の便なので日本へ到着する時間は翌日の朝。

 これから体力勝負だと、ストレッチをしてから部屋をチェックアウトした。
 いつものようにタクシーを捕まえて……と後ろから声がかる。

「楓先輩、一緒に乗っていいですか」
 屈託のない笑顔で聞いてくる藤ちゃん。
 断る理由をあれこれ考えているうちに不意打ちでタクシーへ押し込められた。

 抗議の声を上げようとすると、困ったような笑顔。
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