Bella Notte
 ずっとスマートフォンを気にするそぶりをする先輩。

(桜井センパイからのメッセージを待っているのかな)
 そう思っていたけれど、よく見るとその瞳は寂しそうに揺れていて。

 「先輩、もしかして桜井センパイと連絡つかないんですか」
 突っ込みすぎた質問かと思いながらも、口をついてでた言葉。

 「ううん、大丈夫だよ」
 その笑顔は、無理している時だって分かる。

(何やってんだよ、桜井センパイ)

 「そうですか……所で、新しい会社の内定は……」

(遠慮なく、行きますよ。桜井センパイ)
 ふと笑みを漏らした後、覚悟を決めて前を見据えていた。

 1月1日元旦。日本。

 今日から仕事は完全オフだと社長から告げられた。
 年末に働きすぎたからと、1週間は休めと言われて。

 正直限界だったので、たくさん眠った。
 おかげで、少しだけ頭がクリアになった気がする。

(あれから楓に連絡できてなかった)

 やっと冷静に話せるような気持ちになったので、スマートフォンを手に取る。

(ハワイは今何時だっけ?)

 時計を見るとちょうど15時。
(向こうは20時か、でもまだ大晦日なんだよな)

 考え込んでいると、スマートフォンが音を鳴らす。
 『桜井センパイ、お久しぶりです。藤田です』

 意外な人物からのメッセージだった。
 『楓先輩が、仕事を辞めるって知ってますか?』
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