Bella Notte
――――「それでは、そろそろお二人にはお色直しの旅へと———-」
司会のアナウンスが私を披露宴会場に引き戻す。
あの日井川君に失恋して、そして桜井が恋するくらい大人になったとやっと気付けたんだ。
そうして、ハルと桜井の本当の事情を知った。
会場は暖かい拍手に包まれて、2人が出口へと向かっていく。
「楓、お前ずっとボーっとしてるけど、もう酔った?」
桜井が心配そうに覗いてくる。その表情が昔と変わらないことに何だか少しおかしくなった。
「大丈夫」
笑ってそう伝える。
テーブルを見れば、美味しそうなメインのお肉がある。
申し訳ないけれど胸がいっぱいで、テーブル担当のスタッフへ下げて欲しいとお願いした。
白ワインがちょうど手元に来たので、手付かずだった前菜のキャビアと合わせて堪能する。
美味しい。
グラスの半分を空けた所で、横から大きな手がワイングラスを押さえる。
「楓、少しペースが早い」
桜井が有無を言わさず、私のグラスを取り上げる。
剥れて睨むと桜井は近年見せた事のない優しい笑顔で頬杖をつきながら。
「なにその可愛い顔」
って優しい声で囁く。
ちょっとした心の混乱が起きてしまって余裕がない。
その横で。
「まったく。人の気も知らないで」
顔を掌で覆った桜井が天を仰いでる。
どう言う意味か聞いてみたかったけど、とりあえず。
「桜井、酔ったからって絡まないでね」
なんとか笑顔でごまかした。
桜井からの不意打ちで、思わず頬が紅くなるのが分かる。
「はいはい、ありがとね」
って思わず、流しておいた。
今日の桜井はちょっと変だ。
もちろん私も。過去に心乱されて、現在目の前にいる桜井の笑顔に胸が高鳴るなんて。
でもあんな優しい笑顔を向けてきたのは出会った頃以来で。
司会のアナウンスが私を披露宴会場に引き戻す。
あの日井川君に失恋して、そして桜井が恋するくらい大人になったとやっと気付けたんだ。
そうして、ハルと桜井の本当の事情を知った。
会場は暖かい拍手に包まれて、2人が出口へと向かっていく。
「楓、お前ずっとボーっとしてるけど、もう酔った?」
桜井が心配そうに覗いてくる。その表情が昔と変わらないことに何だか少しおかしくなった。
「大丈夫」
笑ってそう伝える。
テーブルを見れば、美味しそうなメインのお肉がある。
申し訳ないけれど胸がいっぱいで、テーブル担当のスタッフへ下げて欲しいとお願いした。
白ワインがちょうど手元に来たので、手付かずだった前菜のキャビアと合わせて堪能する。
美味しい。
グラスの半分を空けた所で、横から大きな手がワイングラスを押さえる。
「楓、少しペースが早い」
桜井が有無を言わさず、私のグラスを取り上げる。
剥れて睨むと桜井は近年見せた事のない優しい笑顔で頬杖をつきながら。
「なにその可愛い顔」
って優しい声で囁く。
ちょっとした心の混乱が起きてしまって余裕がない。
その横で。
「まったく。人の気も知らないで」
顔を掌で覆った桜井が天を仰いでる。
どう言う意味か聞いてみたかったけど、とりあえず。
「桜井、酔ったからって絡まないでね」
なんとか笑顔でごまかした。
桜井からの不意打ちで、思わず頬が紅くなるのが分かる。
「はいはい、ありがとね」
って思わず、流しておいた。
今日の桜井はちょっと変だ。
もちろん私も。過去に心乱されて、現在目の前にいる桜井の笑顔に胸が高鳴るなんて。
でもあんな優しい笑顔を向けてきたのは出会った頃以来で。