Bella Notte
 と打って変わり、悪戯っ子の様なハルが目の前に。

「桜井、他に好きな人が居るって」

 私が驚いて固まってる横で文乃がなるほどね。と笑ってる。

「それもあって、私も別れたいって言い出せた部分があって。付き合う時に女の子避けになればって思い切り不純な事言っちゃったしね」

 そうなんだ。
 いつも悪魔で、その上モテまくってる桜井が。

「おーい。楓、委員長が呼んでる。ってオレ邪魔だった?」

 教室へ呑気な笑顔で顔を出す噂の奴。
 私は今、多分凄く間抜けな顔してる。

 それを目にした奴はやっぱり、吹き出して笑う。

「ほら、早く行くぞ。委員長が怒りで爆発する前に」

 委員長の怒りは怖い。早く戻らなくては。
 私の前まで来た桜井が自然と私の手を取り連れて行く。

「頑張ってねー」

「桜井、あんまりいじめないであげてよー」

 笑顔で見送る2人にまた明日と別れを告げて、奴に強引に引きずられる。

 私の手を引く桜井の背中を見上げながら、カレの好きな人って一体どんな女の子なのだろう。

 少しだけ胸が騒ぐのを気のせいだと思う事にした。

「桜井、拗らせすぎ。」

 教室に残った2人が優しい笑顔を見合って、そう言っていたのを私は知らずに。


 ――――「それでは、そろそろお二人にはお色直しの旅へと———-」

 司会のアナウンスが私を披露宴会場に引き戻す。
< 53 / 198 >

この作品をシェア

pagetop