Bella Notte
 もう家族みたいな錯覚さえおぼえてしまう。

 田舎の学校で1学年2クラスしかない小さな学校。
 しかも周りは豊かな緑と美しい海に囲まれている。

「あー、本当に暇。なーんもないから、この街」

 親友の長谷川(はせがわ)文乃(ふみの)が嘆く。

 文乃は腰まである美しい黒髪をもて遊びながら、ため息をもらす。
 どこから見ても美しい彼女。

 印象的なアーモンドアイが際立ち、スレンダーな体型も相まって某女優さんにとても似てる。

 この街には確かに都会の様な娯楽は何もない。

 だけれど、人は暖かいし何より大好きな海が毎日遊び場になる。

「そう?私は結構好きだよ」

「楓は海があればご機嫌だもんね」
 
 恨めし気な視線といつもの呆れ顔で見てくる。

 海は好きだ。

 天候によってその色彩と表情を変える様は例えるなら女性と似ていて掴み所がない。

 私の父は船乗りで1年の大半をそんな海の上で過ごす。

 父は帰れば良く海へ連れて行ってくれる。
 いつも側に居なくても、海は父の元へ続いている。

 そこではきっと元気でいるとそう信じることができるから。

 そんな気持ちも手伝って、海を愛するこの気持ちは未だ無くした事はない。

 きっとこの先も。

「そういえば、もうすぐ夏祭りだね〜!」

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