キャンディーの悲劇

キャンディーの悲劇

 SNSで承認欲求を満たすために自己顕示欲の塊の少女がいました。
 彼女のネット上の名前はキャンディーという名前でした。自画像を盛って加工してしょっちゅうアップするのが日課でした。元の顔はかわいいほうだと自負はしていましたが、肌のきめ細かさや白さを強調するために画像の加工は必須でした。目の大きさだって実際よりも少女漫画のようなきらきらした瞳に加工していたし、フェイスラインや足の細さも加工で理想に近い形を作り上げています。まさに理想像でした。

 崩れない顔、モデルのような美しい姿を永遠にネット上に置いておきたい。たくさんの人に注目してもらいたい。そういった欲がキャンディーを支配していました。
 すると、一通のメッセージが届いたのです。なんと芸能事務所を名乗るメッセージでした。

『あなたが一番気に入っている表情を送ってください。こちらで使用できるかどうか検討させていただきます』

 一番の決め顔と精一杯の加工は彼女の承認欲求の現れだったのかもしれません。毎日のいいね、そして、たくさんのメッセージは彼女のキャンディーとしての存在をこの世の中に認めさせているという気持ちが増加します。いいねをたくさん押してもらうとそれだけ精神が安定します。決め顔をネット上にアップします。すると、いいねはあっという間に増えていきます。その画像を添付してメッセージで送信します。一番の自信作です。自分の顔を自信作というのもおかしいかもしれないけれど、自分自身が作品であり、芸術品だと思っていました。自分は歩く芸術品。いずれは商品になる。それは彼女の夢でした。

『商品としてあなたを売り出したいのですがよろしいですか?』

 編集者の人が言うのだから、安心だと思い快諾の返事をします。

「商品としてあなたの顔をいただきます。あなたはキャンディーとして商品になります。どこで切ってもあなたの顔が見えるように商品として採用します。見本品をお見せします」

 そこにあったのは、七五三の千歳あめのようなあめでした。世間のみんなに見てほしい一番の決め顔が細長いあめになって、どこから切ってもキャンディーの顔になるという理想のような商品だったのです。

「私の顔が商品になるのですか?」

「君には、これから本物のキャンディーになってもらうよ」
 
 その後キャンディーの消息は不明となりました。
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