もしあのとき違う人を選んでいたら――

もしあのとき違う人を選んでいたら――

 宇佐原と亀木の二人は同じ会社にいましたが、全然違う性格でした。宇佐原は、仕事が早くせっかちなタイプです。亀木はじっくりものごとを進めるタイプでゆっくりした性格です。彼ら二人はある共通点がありました。二人には好きな女性がいたのですが、同じ人だったのです。その女性は二人に告白されたので、ある条件を言い出しました。営業の成績がよく、出世したほうと結婚したいと言い出したのです。

 営業の成績は宇佐原のほうが元々よく、調子のいい性格は上司にも好かれる原因でした。明るく元気な宇佐原は好感度がとても高い男でした。

 営業の成績はあまり良くありませんでしたが、取引先との信頼関係を深めていった亀木は一定の顧客の心をつかんでいました。新規の客よりも昔からの客を大切にしているタイプでした。

 そのころ、好きな女性は二人の様子を見ていましたが、なかなか返事をくれません。二人はいつ女性が返事をしてくれるのか心待ちにしていたのです。

 ところが、彼女に社長の息子との結婚話が舞い込んできました。それを知った二人は裏切られたようながっかりした気持ちになりました。

 そのころ、亀木はお得先からうちの会社で働かないかとヘッドハンティングされていました。そこで、亀木はパソコンや法律の知識が活かせそうだったので、転職を決意しました。

 宇佐原は未練がありましたが、とにかくその会社にしがみついて新規顧客を獲得しようと必死でした。

 しばらくしてから、亀木の勤めている会社は急成長して、亀木は会社の役員として仕事をこなしていました。それをきいた社長の息子と結婚した女性はため息をついていました。
「あのとき、亀木さんと結婚していたら、私の人生は違ったのかな……」
 彼女は懐かしの社屋を見上げながら、違う会社名となった看板を見つめていたのでした。



★解説
 彼女は懐かしの社屋を見上げながら、違う会社名となった看板を見つめていたのでした。ということから、女性の結婚相手の会社が倒産したということでしょう。宇佐原も解雇となって現在求職中なのです。短期間では人の人生はわからないということ。もちろん亀木だってこのまま順風満帆になることは保証されていないのです。その時は1番だって、少し後になったら別な人が1番になる。長い人生、勝敗はつけられないのです。
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