旦那様、そろそろ離縁のご準備を〜契約結婚三年目、満了日を目前にして旦那様の様子がどこか変です〜
この先も、彼女の隣に立つために
ティータイムを終えたソフィアが私室に戻ると、壁際の四角いテーブルで、侍女のアリスがレース編みに集中していた。
栗毛を後頭部でしっかりと纏め、背筋を真っ直ぐに伸ばして針を運ぶ姿は、普段のお調子者の彼女とはまるで別人である。
「アリス、進みはどう?」
ソフィアがそっと声を掛けると、アリスはハッと顔を上げ、勢いよく振り返った。
「お帰りなさいませ、奥様! ほら、見てください、大分進みましたよ!」
無邪気な笑顔で立ち上がりながら、手元のレース布を広げてみせる。
確かに、見事な出来だ。
「流石アリスね。わたしの図案通りだわ」
「刺繍と編み物ならお任せください!」
誇らしげに胸を張るアリスに、ソフィアはふふっと笑みを零した。