海姫物語
「あなた誰なの!? 離して!」
身を捩って抵抗すると男は一瞬驚いたように目を見開いた。
しかし男は絶対に姫奈を離すまいとやっきになり、体に回された両腕に更に力がこもった。
「こんなところでひとりで歩いてたんだ。ナンパ待ちだったんだろ?」
酒臭く熱い息が耳元に吹きかけられて全身不快感が駆け巡る。
男は酔っ払っているみたいだ。
「離してよ!」
姫奈が抵抗を試みると男の両腕の力がわずかに緩んだ。
そのすきに逃げ出そうとするがうまく行かない。
海で泳ぐための体力はあるけれど、男に勝るほどの筋力は姫奈にはなかった。
そんなとき、浜辺を照らすライトが近づいてきた。
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