海姫物語
ラジオ体操にも朝食にも顔を出さず、勉強時間が始まってもベッドに寝転んだままだった。
目を閉じれば昨日の出来事が鮮明に思い出されて胸の奥がざわつく。
せっかく素敵な人と出会うことができたと思っていたのに、その気持も今はもうしぼんでしまっていた。
勉強時間が終わったとき部屋にノック音が響いた。
この時間ならきっと相手はエリクだ。
そう感づいた姫奈が無視を決め込んだものの、何度も何度もノックされてついにベッドから起き上がった。
「エリク?」
鍵のかかったドアの前まで歩き、廊下へ向けて声をかける。
「姫奈、昨日なにかあったんだろ」
やっぱりエリクだ。
姫奈はドアに背をもたれさせてため息を吐いた。
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