最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~
 そして、蘭が監禁されている倉庫に連れて行かれた。

 すでに霞先輩と英は到着していた。


「おいおい、雪斗。お前がヤクザの若頭なんて聞いてないぞ。」

「言うつもりは無かったんだけどね。」

「だろうと思った。ところで、美夜はプロらしいから経験があるけど、俺らは戦闘経験ないよ。」

「今回、霞先輩と獅子原には医療班として働いてもらう。」

「え?俺らが?」

「……でも、それなら…。」


 二人も戦闘じゃないとはいえ巻き込むなんて…。


「雪斗、それは危ないよ。」

「だけど、皆が蘭のために動きたいのは一緒だ。」


 その雪斗の言葉に何も反論できない。


「分かった。」


 こうして、私たちは蘭奪還のために倉庫へと向かった。

 中に入ると、総勢三百人のTHEいかにも、な人達がいた。

 それに、どこかで見たことあるような顔ぶれだ。

 あ、そこにいるのは海外の殺し屋で懸賞金額二十五億円の人だ。

 というより、仁極組の組員約百人に対して三百人は…。

 まぁ、いけるか。

 雪斗が前に出る。


「俺は戦いをしに来たんじゃない。友達を返してもらいに来た。」


 流石は、交渉術に長けている男だ。

 しかし、相手は指名手配犯の極悪犯罪者。

 そんな殺人狂達を束ねるハデースに交渉など通用するわけがない。


「俺の街で好き勝手されるわけにはいかないんでね。」

「ふぅん。で、ジェヘナはいるか?」

「いるよ。あなたはクリスマスの通りすがりの人でしょ?声で分かった。」

「あぁ。当たっている。」

「寄せ鍋美味しかった。」

「そうか、良かったな。」


 会話しながら蘭を探す。

 どうやら、ハデースの後ろにて口と目、腕、足を拘束されている。

 ………使用しているのはPPバンドみたいだ。

 流石は徹底的である。


「いや、おいおい。なんで二人とも仲良さげに喋れてるわけ?」

「しかも、クリスマスに会っていただと?」

「だって、ハデースは…。」


 私が言うよりも早くハデースが答えた。


「同じボスの元で訓練した言わば兄弟子だ。」

「うん、ハデースのほうが先にいたよ。」

「美夜のあ、兄弟子?」

「てことは、美夜より…。強いか、または互角か!」

「ま、実力は戦ったら分かるんじゃない?」


 ハデースは余裕のある笑みを浮かべている。


「てことで…。思う存分殺し合おうか?」


 ハデースがそう言った瞬間、三百人が一斉に襲い掛かる。

 すかさず、発泡スチロールの弾丸で攻撃する。


「へぇ、サイレンサー付きに発泡スチロールか…。」

「ボスに殺すなって言われたから。」


 どんどん敵を気絶させながら会話をする。


「時期にそんなのを忘れて殺し始めるさ。」

「そんなことはしないよ。」

「どうだか、見物だね。」

「うん、でも。終わっちゃったよ。」


 三百人、私の力で全員を倒したわけじゃないけど倒せた。


「ぷっはは。いいねぇ。一年近く殺していなくてもまだ腕は落ちていなかったんだ。」

「ううん。かなり落ちた方だよ。でも、不思議と嫌じゃない。」

「っ…。いつの間に。」


 ハデースの不意をついて、蘭を救出する。

 
「じゃ、蘭も救出したことだし…。さようなら。」


 ハデースを一度も見ることはなく倉庫から出ようとする。


「ふざけるな…。」


 地を這うような低い声。

 そして、銃声が鳴る。


「……っ!?」


 蘭を庇う。

 さっきのは、蘭を狙っていた。

 私が簡単に避けるのを分かっていたからだ。


「蘭をお願い。」


 怒りが限界点に達した。

 蘭を霞先輩と英に任せて、ジャージからさらに動きやすいシャツに変える。


「おっ、やっと本気か。存分にやり合おうぜ、兄妹。」

「……兄妹なんて思ったことは一回もないよ。だって、もう私とハデースじゃ住む世界も価値観も違う。」

「はっ、一年で変わったと言うのかよ。」

「うん、変わった。普通がなんなのかはまだ分からない。だけど、毎日楽しいよ。どんな人間を殺すより。」

「へぇ…。残念ながら、俺は人を殺す瞬間が一番好きだ。」

「そっか。じゃあ、敵だね。」

「あぁ、昔からさ。」


 二人して、銃を投げ捨てて素手の状態で構え合う。

 そして、


「「…っ。」」


 一瞬の隙を逃さず、突進して攻撃する。

 初めて、ハデースと出会ったのはボスが連れてきた訓練場だった。

 ハデースは私の二歳年上で、私よりも一年早く先に組織に入っていた。

 周りが大人だらけの殺し屋ということもあって私たちはすぐに仲良くなった。


『お前、新入り?』

『うん。あなたは?』

『お前より一年前からいるんだよ。』

『そうなんだ。』

『ったく、年の割に落ち着いていて愛嬌がねぇな。よし、分かった!俺がお前を子分にしてやる!』

『うん、ありがと。』

『てか、通り名は?』

『分からない。』

『んー…じゃあ、ジェヘナでどうだ。俺のハデースっていうのと同じ意味なんだぜ!』

『へぇ。じゃあ通り名はジェヘナにする。ジェヘナって呼んで。』

『あぁ、よろしくな。子分一号こと、ジェヘナ。』


 そんなことを考えている隙に高い所に追い詰められてしまった。


「ちょ、なんとかならないのか?」

「押されているぞ、雪斗。」

「待て、今俺らが助けに入ったところで美夜の役に立つどころか足手まといになる。」

「ちっ、じゃあどうすればっ…。」

「……美夜を信じるしかないだろ。」


 咄嗟にズボンのポッケトに手を入れると、レシートと小銭が数枚入っていた。


「……っ。」


 バック転がてらハデースの目にレシートを貼り付けて、視界を封じ、逆に今度は追い詰める側のいちになる。

 おはじき遊びをするかのように小銭を投げる。


「ちっ、姑息な真似を…。」


 しかし、ナイフを取り出したハデースは後ろに気づかなかったのかそのまま落ちてしまう。

 落ちれば下は鋭い刃が数本あって針山のようになっている。

 理由なんて関係なしに、気づけば体が動いた。


「死なせない…。」


 そして、一気に引き上げた。


「おい、なんで…。」


 その言葉に続きが紡がれることは無かった。

 銃声が遮って、彼を貫いたからだった。「」
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