レオン
「なんか、お前って思ってたほどレオンじゃなかったわ」
それは屋上でも、なんでもない。
別々のクラスになって廊下ですれ違った時に、世間話をするように告げられた。
「レオン見た?お前」
見たさ、それこそ何十回も。
「最初似てるかなって思ったけど、段々似てねーなって思うようになってさぁ」
「なんつーか、キモい欲みたいなの見え見えだよ?お前。マジで気持ちわりぃから」
じゃ、と手をひらひらとさせる世那に、俺は何も言えなかった。
ただ雑談をするように俺に死刑宣告をした世那。
次の日、クラスの奴が話してた「涼井世那が山吹夕香里の家に行っている」という噂。
そして、しばらくしてから世那が山吹夕香里を虐めたクラスメイトを"断罪"したと、風の噂で流れてきた。
今思えば、世那は俺を試していたんだ。
山吹を俺に見せて、俺がどういう反応をするか。
それで、俺は世那の望む反応を得られなかった。
だから、不合格だったんだ。
「俺ってなんだったんだろうな」
耳についた3つのピアスに触れる。
ピアスを拒絶した相手はきっと、山吹だったんだろう。
客観的に見れる今だから分かる。
世那は、山吹と一緒のピアスを付けたかったんだ。
俺を通して、山吹夕香里を見てただけで、世那は俺を見てた訳じゃなかった。
「レオンは名作だけど、それだけかよ…」
自嘲気味に笑って、しばらく止めていた煙草に火をつけた。