甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます


いや、わかるけど!!忙しいのはわかるけど!!
もうちょっと色々話をしたいです社長!!


なんて私の悲痛の叫びは届くはずもなく。
私は苛立ちをぶつけるように、隣に立つ頭二個分ほど背の高い榊原さんを横目で睨みつけた。


「ワーコワイコワイ」


だめ、この人本当にむかつく。
呆れを通り越した私はそのまま無視して先に廊下を歩こうとしたが、すかさず右腕を掴まれる。


「いやーびっくりした、ほんと。まさかここの社員だったとは。」


そう言ってヘラヘラと笑う榊原さんに余計腹が立って、私は勢いのまま口を開いた。


「昨日限定だって話でしたよね?迷惑です。社長に嘘つきましたって正直に話してください」
「そうだっけ?」


私の話をまともに聞こうともせず、降参ポーズをして見せる榊原さん。


「そもそも御曹司のあなたと、パンピーの私では住む世界が違います。しっかりお見合いして釣り合う人を見つけてください」


そう言って榊原さんの手を振り解き、背を向けたものの、小走りで前に回り込まれ、行く手を阻まれた。


「住む世界とかどうでもいい。ていうか、何?俺の事きらいなの?」
「嫌いとかそういう話をしているのではなくて」
「ならいいじゃん」


な?と顔を覗き込むようにして悪びれもなく話される。こんな事になるんだったら、昨日ハッキリと断ってすぐに帰るんだった。私はいつも判断を間違える。


「そもそもさ、恋がしたいあんた、お見合いをしなくていい理由が欲しい俺。これで交渉成立だろ」
「別に私は恋がしたい訳じゃないです。絶対的味方が欲しかっただけです。」
「だから俺がなるって言ったじゃん」
「貴方にはなれません」


冷たくそう言い捨てれば、榊原さんは溜め息をついた。ため息吐きたいのはこっちだっての!!!

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