『愛をください』─ 叶わぬ想い ─

25 ◇お寿司

美代志くんが取るであろう1月3日の最後の正月休みには、何か美味しいものを作って
あげたくて――どうしようかと私はしばし思いを巡らせた。

夫は例年通り、2日の20時頃には帰宅しており、今日はずっと家にいるみたい。

……なので、あれよね……昼にはお寿司の出前をとって夜はすき焼きをするつもりだから、
私たちと同じメニューにして昼前に届けることにした。

我が家に届くお寿司は、私の帰宅が間に合わなければ夫に受け取りと支払いをしてもらう
ことにして、私はすき焼きの材料をタッパーに詰め、途中で頼んであったお寿司一人分を
すし屋で受け取り美代志くんの家へと急いだ。

もちろん、一人前の料金は店で直接払った。


まだ美代志くんのことは、夫に話してないからお寿司を余分に買ったことが
支払いから分かるとまずいかなと思ってのこと……。


美代志くんにはメールでお昼と夕飯は、準備していることを連絡してから
行った。

インターホンを鳴らすと美代志くんがドアを開けてくれた。

「おはようございます」

「おはようございます。いつもすみません」

「ぜんぜんよ、気にしないで。えっとね、お昼はこれっ」

私は、お寿司を手渡した。

「わぁ~、ご馳走だ。いただきますっ」

美代志くんは寿司桶を手に、私はタッパーウエアーを手に、
私たちはそのまま、奥の台所へと向かった。


そこでテーブルの上に私はタッパーウエアーを袋から取り出した。

「ふふっ、それとこれ夕飯のおかずね。
お肉や野菜、それとキノコ類とコンニャクなんかもう煮込んであるから、あとは
食べる時に温め直して食べてね。
薄味にしてるから濃いのがよければ、醤油と砂糖をつけ足してもらえばいいと
思うの」


「温め直せばいいだけなんて、すごく助かります。ありがとうございます。
――――っと、桶、返さなきゃいけないですよね?」

「そうだった……」

「今のうちに、お皿に盛りつけますね」

「桶の返却まで気が回ってなかったから、助かったわ。
じゃあ、桶はこのまま、持って帰るわ」



最後の休暇を美味しい食事で過ごしてもらえればいいんじゃないかな。
自分にできる精一杯はここまでだけど、気持ちが潤ってもらえたらと
思う。

美代志くんの家を後にして車に乗り込んだあと、すぐに自分のお腹が鳴った。

さぁ~、私も久しぶりのお寿司、楽しみ~。
車の中で(はや)る私の気持ちはお寿司のことでいっぱいだった。


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