『愛をください』─ 叶わぬ想い ─

31 ◇給料日

働き始めて2か月が過ぎ、美代志の口座に二度目の給与が振り込まれた。
振り込まれた日から次の休日までにはまだ4~5日あった。


『今回は自分のお金で買うのだし、いつまでも彼の人に頼りっぱではなぁ~』
などと考えながら、美代志は疲れた身体を引きずるようにして自宅の玄関に
辿り着いた。


そんな風にあれこれグルグル思案したが……
それでもやはり由香さんにひと言相談してからのほうがいいよな――と、
美代志は思い直した。


この日は残業があり、帰宅するのが遅くなったせいで由香とすれ違いになって
しまったようだ。

部屋に入ると、タッパーウエアーに詰められた、すぐに食べられるおかずが
テーブルの上に置かれていた。

ご飯は炊いてあるので、(よそ)うだけで食べられる食事はとても有難い。

『うへっ、うっま』『うっま――』

 美代志はご飯をお代わりして食べた。

お腹を空かせた子猫が声をあげながらフギャムギャ(ウマウマ)言いながら
食べる姿と重なるように、美代志は『上手い』を心から堪能した。

由香に相談してから冷蔵庫を買うと決めたものの、その夜、美代志が由香に
そのことでメールを出すことはなかった。


          ◇ ◇ ◇ ◇


私が保証人になり、美代志くんは倉庫の作業員としての仕事をはじめた。

話を聞くところによると、彼は、田舎ではあるが進学校クラスレベルの
高校を出ているという。


そのため、私は彼に仕事をしながらはキツイかもしれないけれど、
若いのだし、これから毎年受かるまで市役所の土木あたりの
受験をし続けたらいいのではないかと、勧めた。

私が保証人になるといっても限界があるのでは?と考えたからだ。
 
身寄りのいない彼には、大きな企業への就職は難しかろうと思ったのだ。



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