『愛をください』─ 叶わぬ想い ─

78 ◇離婚届け

私は、美代志くんに私への告白を重荷にはしてほしくなかった。

だから、敢えて
『彼女ができて、結婚を決めたら私が親代わりになるからね』
と言ったのだ。


はじめて、自分たちの気持ちをお互いにさらけ出し、話し合った結果
家族として、これからもこの先の縁を繋いでいくことを私たちは確認しあった。

そして時同じくして、このあとすぐに私は夫に離婚を申し入れた。

離婚を申し出ると夫は青天の霹靂とでもいうような態度をとるから、
こっちが驚いちゃった。

若い女とずっとラヴラヴしていて、お望み通りいつまでも大手を振って
ラヴラヴできるのだから、喜ぶところなのに、おかしいの~。

泣いて私に縋るのよ~。 変な人。
『離婚はしない~っ』て泣くから話にならないの。

でね、めんどくさいから──とにかく私は離婚届をテーブルの上に置いて
さっさと家を出た。

行き先は祖父母の家の近所。
息子たちには、少し前に私の気持ち(決心)を話してある。

若い子が好きなお父さんを放流してあげるのよと。
少し早い卒婚だと。

「おかあさん、おとうさんを若い人に譲るのいやじゃないの?
離婚したら親父のヤツ、好き放題じゃん」

「いいのよ。私のお願い(言うこと)なんてちっとも聞かないんだもの。
そんな人に縋りついているのは嫌なのよ」


「もしかして、僕らのために今まで我慢して離婚しなかった?」

「う~ん、どうだったかな? 忘れた。
でも絶対50才になってあなたたちが成人したら、いつか頃合いをみて離婚しようって
決めてたの」


          ◇ ◇ ◇ ◇

数年前に私は家を出た。
子供たちは置いたまま。

その後、就職が決まると長男も部屋を借りて出ていき、次男は形としては
父親の暮らす家に住んでいるという体をとってはいるものの、ほとんど
私の部屋で暮らすようになる。


それで、不思議なことに夫も休日になるとなんだかんだと理由をつけて
私の家に来るようになった。


どういうこと? あきれるわ~。放ってるけど。
離婚届を渡した日から半年ほど経った頃、夫から元の家に呼び出された。






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