鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した
その後、長谷川からダブルチェックの結果が返ってきたので、申請を上げておく。
お礼を言おうと顔を上げると、長谷川は秦野ちゃんと何か話していた。
秦野ちゃんは怯えた様子もなく頷きながら話を聞いている。
よかった、ついに秦野ちゃんにも怖がられなくなったんだね。
「立花―」
「はい」
丹沢先輩が席でひらひら手を振るので、資料を置いて駆け寄った。
「さっき申請してもらったやつだけど、明日来いって言われてさあ……」
先輩のパソコンを覗き込みながら少し話して、自席に戻った。
明日、急遽お客様先に行くことになった。ちょっと遠い場所だから、交通費の精算をしないといけない。
「おい」
「んー」
長谷川が寄ってきたけど、申請手続き中だから顔を上げられなかった。……と思ったら、めちゃくちゃ覗き込んできた。
「邪魔だけど」
「俺が話しかけてるのに顔も上げねえから、よっぽどやらかしたのかと思って」
「失礼だし俺様だしなんなの。明日、日帰り出張だから交通費の申請出してるんだよ」
「明日いねえの? そっか」
「なんかあった?」
「なんもない」
「甘えん坊か?」
「甘えてほしいのか? 俺に?」
「別にいいかな……それより何か用事?」
入力を終えて、申請ボタンをバシッと押した。
時計を見るともう定時を過ぎていたから、経理部に
「定時過ぎに明日の申請出してごめんなさい」
を言いに行った方がいいかもしれない。
「さっき、何か言おうとしてなかった?」
「ダブルチェックありがとって」
「ああ、いいよ別に」
「……長谷川が爽やかだと、逆に不安になるな。なんか企んでない? それとも私に仕事させようとしてる?」
つい聞いたら、長谷川の眉間にしわが寄った。
「俺をなんだと思ってるんだ。立花がいつも『いいよ』っつって手を貸してくれるから見習ったんだろうが」
長谷川が、私を見習った!?
そっちのほうが、なんか不安だなあ。
やっぱり何か企んでいるのかも。
「立花、めっちゃ失礼なこと考えてるだろ」
「まあ」
「否定しろ」
「立花、楽しそうなところ悪いんだけど」
私と長谷川の間に、丹沢先輩が苦笑しながら顔を出した。
「ご用ですか?」
「うん。一緒に経理部に頭下げに行こう」
「一緒に行ってくれるんですか! 助かります!!」
「何かやらかした?」
長谷川にざっと事情を説明すると丹沢先輩と同じような苦笑になった。
だって、お客さんが直接説明しろ、明日すぐ来いって言うんだもの。新幹線の距離だけど、一応日帰りできる範囲だし、行けない理由もなかったから仕方ない。
長谷川に見送られて、丹沢先輩と経理部に向かった。
「長谷川、ずいぶん丸くなったよなあ」
「ですよね。紫くんや秦野ちゃんとも、普通に話してました」
「……立花と話してるときが一番穏やかに見えるけど」
「まあ、同期ですからね」
「それだけじゃなさそうだけど……あ、俺のネクタイ曲がってない?」
経理部の前の廊下で丹沢先輩が立ち止まった。
廊下の窓ガラスに姿を映して、ネクタイとシャツ、それから髪型を確認している。
「大丈夫です」
「経理に葉山さんいる?」
「いそうですね」
「じゃあ俺が話すわ」
「はあ」
……?
葉山さんは経理のきれいなお姉さんだ。めちゃくちゃ厳しくて怖いけど。
先輩はもしや……?
野次馬しようと思ったけど、先輩も私も葉山さんにめちゃくちゃ怒られて、それどころじゃなかった。
お礼を言おうと顔を上げると、長谷川は秦野ちゃんと何か話していた。
秦野ちゃんは怯えた様子もなく頷きながら話を聞いている。
よかった、ついに秦野ちゃんにも怖がられなくなったんだね。
「立花―」
「はい」
丹沢先輩が席でひらひら手を振るので、資料を置いて駆け寄った。
「さっき申請してもらったやつだけど、明日来いって言われてさあ……」
先輩のパソコンを覗き込みながら少し話して、自席に戻った。
明日、急遽お客様先に行くことになった。ちょっと遠い場所だから、交通費の精算をしないといけない。
「おい」
「んー」
長谷川が寄ってきたけど、申請手続き中だから顔を上げられなかった。……と思ったら、めちゃくちゃ覗き込んできた。
「邪魔だけど」
「俺が話しかけてるのに顔も上げねえから、よっぽどやらかしたのかと思って」
「失礼だし俺様だしなんなの。明日、日帰り出張だから交通費の申請出してるんだよ」
「明日いねえの? そっか」
「なんかあった?」
「なんもない」
「甘えん坊か?」
「甘えてほしいのか? 俺に?」
「別にいいかな……それより何か用事?」
入力を終えて、申請ボタンをバシッと押した。
時計を見るともう定時を過ぎていたから、経理部に
「定時過ぎに明日の申請出してごめんなさい」
を言いに行った方がいいかもしれない。
「さっき、何か言おうとしてなかった?」
「ダブルチェックありがとって」
「ああ、いいよ別に」
「……長谷川が爽やかだと、逆に不安になるな。なんか企んでない? それとも私に仕事させようとしてる?」
つい聞いたら、長谷川の眉間にしわが寄った。
「俺をなんだと思ってるんだ。立花がいつも『いいよ』っつって手を貸してくれるから見習ったんだろうが」
長谷川が、私を見習った!?
そっちのほうが、なんか不安だなあ。
やっぱり何か企んでいるのかも。
「立花、めっちゃ失礼なこと考えてるだろ」
「まあ」
「否定しろ」
「立花、楽しそうなところ悪いんだけど」
私と長谷川の間に、丹沢先輩が苦笑しながら顔を出した。
「ご用ですか?」
「うん。一緒に経理部に頭下げに行こう」
「一緒に行ってくれるんですか! 助かります!!」
「何かやらかした?」
長谷川にざっと事情を説明すると丹沢先輩と同じような苦笑になった。
だって、お客さんが直接説明しろ、明日すぐ来いって言うんだもの。新幹線の距離だけど、一応日帰りできる範囲だし、行けない理由もなかったから仕方ない。
長谷川に見送られて、丹沢先輩と経理部に向かった。
「長谷川、ずいぶん丸くなったよなあ」
「ですよね。紫くんや秦野ちゃんとも、普通に話してました」
「……立花と話してるときが一番穏やかに見えるけど」
「まあ、同期ですからね」
「それだけじゃなさそうだけど……あ、俺のネクタイ曲がってない?」
経理部の前の廊下で丹沢先輩が立ち止まった。
廊下の窓ガラスに姿を映して、ネクタイとシャツ、それから髪型を確認している。
「大丈夫です」
「経理に葉山さんいる?」
「いそうですね」
「じゃあ俺が話すわ」
「はあ」
……?
葉山さんは経理のきれいなお姉さんだ。めちゃくちゃ厳しくて怖いけど。
先輩はもしや……?
野次馬しようと思ったけど、先輩も私も葉山さんにめちゃくちゃ怒られて、それどころじゃなかった。