偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています

今度は榊さんが驚いた表情をしている。

「えっと、…なんで百合子さんが出てくるのですか?」

「実は…数週間前に、
百合子と榊さんがジュエリーショップへデートしているところを見まして…」

私が恐る恐る話すと、
榊さんが「あれを見られていたんだ…」と渋い顔をした。

ーやはりデートしていたんだな…
もしかして百合子とお見合いは続いていて、私はキープなのかな?

暗い気持ちがグルグル頭に回っていた。

「あれはデートではありません」

私が暗い表情をしていたから、
変な妄想をしているのがバレているのか、
少し焦った声で榊さんが話していた。

「うーん、本当はここで渡すつもりは無かったのですが…
これを選んでもらっていて…」

榊さんはジュエリーショップの袋を後部座席から取り出し、なかに入っていたボックスを差し出した。

中身を開けてくれて、
確認するとシルバーのブレスレットが入っていた。

ーシンプルですごく可愛い。
でも、少し百合子と趣味が違うかも?

私が不思議そうに眺めていると、
「これ…就職祝いに渡したかったんです。楓さんに」と言われた。

「私にですか?」

「そうです。
恥ずかしながら私はあまり女性にプレゼントをしたことがなく…

楓さんの親友である百合子さんなら、楓さんの趣味もわかるかなと思いまして、お願いしたんです」

ーまさか私のプレゼント選びのために、2人で出掛けてくれていたなんて…

「あ、ありがとうございます」

「いえ、本当は夜景の見えるレストランとかで渡したかったのですが…」

苦笑いしている榊さんを見て申し訳なくなった。

私の勘違いで、
勝手に避けて酷いことを言ってしまったし、榊さんの計画を台無しにしてしまった。

「すみません、私勘違いしていて…
先ほども本心ではないんです。

ただ百合子と榊さんが付き合っていると思って、2人の邪魔をしたくなかったので、他の理由で距離を置こうと思いまして…」

「やっぱり楓さんは優しいですね」

ー優しい?私が??
距離を置いたのに??

私が驚いていると、
「好きな人と友人が付き合って、
その邪魔をしないようにって考えるのは優しいと思いますよ」と言ってくれた。

私はそんな大したことではないと思いつつ、せっかく誉めてくれているのに否定もするのもな…と思い、
どう反応しようか困っていた。

「先ほども言いましたが、
私は楓さんが好きです。
付き合ってもらえませんか?」
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