地元なじみ。
*平塚薫の人間観察日記*クリスマス編
「ひなたく~ん!1曲くらい歌ってよ~!」
「おー……」

クリスマスイブの午後――カラオケルーム。
俺、平塚薫はとても楽しんでいた。
とは言っても、このカラオケを楽しんでいるわけではない。

ずっと機嫌の悪いひなたを見て楽しんでいる。

機嫌が悪い理由はいくつかあるのだろうけれど。
まずはこの状況。
本来俺たちは、普段から仲の良いここにいる男だけで部活帰りに昼を食べ、その後俺たち3人は塾に行く予定だった。
それが女子たちと一緒となり、あれよあれよとカラオケに行くことになってしまったのだ。

ひなたと三島以外のヤツらは、女子と遊びたいと思う健全な男子中学生だし、まあ仕方がない。
そんな経緯もあってただでさえ不機嫌なひなたは、苦手にしている人前で歌うということを勧められ、更に不機嫌になっている。

場の空気を悪くはしていない程度に抑えているからいいけれど。……いや、俺と三島以外は不機嫌ってことにすら気づいていない気もする。

まあ、不機嫌の最大の原因は、藤沢と佐藤に遭遇したことだろうが。

ひなたもようやく少しずつ自覚し始めているが、ひなたにとって藤沢は特別な女子なのは間違いないだろう。
そんな藤沢がクリスマスイブに男と2人でいるところに遭遇したら、そりゃあ不機嫌にもなるはずである。
しかもその相手が、過去に藤沢に告白していたヤツならなおさら。

塾での2人のやり取りからするに、藤沢が断ったけれど、友達として仲良くしようってところかな。
今日2人でいたのも、部活が一緒らしいし偶然な気がする。

その感情は嫉妬だって、ひなたが早く気がつけばいいのに。
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