八年執着されましたが、幸せです ~傷心のホテリエですが、イケメン御曹司と契約恋人になりました~
面接の時、彼の事を「年下なのにしっかりしてそう」なんて上から目線で思った自分が恥ずかしい。
暁人さんと話していると、いかに自分が空っぽな人間なのか思い知らされる。
確かに私は勉強を頑張り、憧れのホテリエになるために努力し続けた。
そのために英語力を上げたし、他の外国語も話せるように勉強中だ。
でも〝頑張っている自分〟に酔っていたのも事実で、今残っているのは、一度の失敗で深く傷付き、立ち止まって歩けなくなった自分だ。
不運だったから、自分が悪いから。
すべてに理由をつけて、いまだウィルを思いだしては傷付いている自分を正当化しようとしている。
暁人さんはそれを見透かしたのだ。
――私はこの人ほど、人間ができていない。
素直に認めた私は、彼が年下だと思うのをやめ、一人の尊敬すべき男性だと認識を正した。
私は深呼吸をすると、驕っていた自分と向き合う。
「……ひとえに、不幸が重なった事が原因だと思います。ウィルに婚約破棄をされるまで、私の人生は上々でした。努力が報われ、憧れのホテルのCOOに認められたのだと、自分を過信していました。……でも、ウィルはただの気まぐれで私に手を出したに過ぎません。思い上がった私は自分に魅力があると思い込み、捨てられた事を彼と婚約者のせいにしました。……婚約者がいるのに、他の女性に手を出した彼の行動は正当化できないと思っています。でも、遊ばれていると見抜けなかった私も未熟でした」
思えば、〝ゴールデン・ターナー〟で同僚にウィルの事を話していた時、『彼はプレイボーイだから気をつけたほうがいい』と警告された。
でも私は嫉妬してそう言っているのだと思い、取り合わなかったのだ。
今思えば、親切心でアドバイスしてくれた同僚にまで、そんな感情を抱いていた自分が、あまりに愚かで恥ずかしい。
帰国してから彼女にメッセージをして謝ったら【全然気にしていないから大丈夫だよ。それより傷付いた芳乃が心配】と言ってくれ、余計に惨めになった。
「……彼と婚約者から逃げて、日本で穏やかな日々を送れていたと思っていたのに、いきなり父を喪いました。今までも両親は、娘が一人でアメリカで働いている事を心配していると分かっていたはずなのに、父が亡くなってから初めて、『もっと親孝行すれば良かった』とか、『自分の欲ばかりを追わずに、店を継ぐ事を考えれば良かった』とか、今さらな事を考えました。……全部、両親が許してくれたから自由にやれてきただけなのに、私は父に何も返せなかった……っ。…………自分はまだまだ子供だという自己嫌悪が、大きな要因だと思います」
心の傷を曝け出すと、暁人さんは真剣な眼差しで私を見つめ、尋ねてくる。
「じゃあ、これからどうすべきだと思う?」
尋ねられ、私は少し考えてから答えた。
「もっと広い視野で世界を見るべきだと思います」
「そうだね。……でも、まるで面接の答えのようだ」
微笑んだ彼に優しく否定され、私は言葉を失う。
今以上の回答はないと思っていたので、他に答えようがない。
「じゃあ……、どうすれば……」
本当に分からない私は、答えを求めて暁人さんを見つめる。
すると、彼は優しく笑って辛辣な事を尋ねてきた。
「君は今の自分を『大好き』と胸を張って言えるか?」
聞かれた瞬間、私は思考を止めて固まった。
(言えない……)
〝ターナー&リゾーツ〟の御曹司と結婚できると思い込んでいたのに、蓋を開ければ一人で舞い上がっていただけ。
金髪美女に嘲笑われても、何も言い返す事のできない一般日本人。
逃げるように帰国したあとも、私はウィルとレティシアが悪いと言い聞かせ、傍から見ればアメリカの御曹司が私なんかに本気になる訳がないという事実から、目を背けていた。
あれだけ自信満々に、家族に向かって『NYに骨を埋めるつもり』と言ったくせに、結局は口だけだった。
アメリカンドリームに敗れて実家でゴロゴロしていた私は、無職で頼りなかった。
家族たちは無事に帰国した事を喜んでくれたのに、私は何一つ結果を残せずに逃げ帰った自分を恥じ、故郷にいるというのに〝こんな所〟で燻っている自分を恥じていた。
加えて、帰国した時に両親を見て『老けたな』と感じた。
それはひとえに、私が彼らを心配させていたからだ。
『やりたい事をやりなさい。そのために支え続けてきたんだから』
両親の優しさに甘え続けた私は、お返しに何をしただろう?
日本の友達は、長期休みになったら帰省して、親に顔を見せてコミュニケーションをとり、家族の誕生日には花やプレゼントを届け、食事会をしていた。
なのに私はタイムラグのある国際便でプレゼントを贈り、ビデオ通話で「おめでとう」を言っただけ。
――私はただの親不孝者だ。
だから――。
暁人さんと話していると、いかに自分が空っぽな人間なのか思い知らされる。
確かに私は勉強を頑張り、憧れのホテリエになるために努力し続けた。
そのために英語力を上げたし、他の外国語も話せるように勉強中だ。
でも〝頑張っている自分〟に酔っていたのも事実で、今残っているのは、一度の失敗で深く傷付き、立ち止まって歩けなくなった自分だ。
不運だったから、自分が悪いから。
すべてに理由をつけて、いまだウィルを思いだしては傷付いている自分を正当化しようとしている。
暁人さんはそれを見透かしたのだ。
――私はこの人ほど、人間ができていない。
素直に認めた私は、彼が年下だと思うのをやめ、一人の尊敬すべき男性だと認識を正した。
私は深呼吸をすると、驕っていた自分と向き合う。
「……ひとえに、不幸が重なった事が原因だと思います。ウィルに婚約破棄をされるまで、私の人生は上々でした。努力が報われ、憧れのホテルのCOOに認められたのだと、自分を過信していました。……でも、ウィルはただの気まぐれで私に手を出したに過ぎません。思い上がった私は自分に魅力があると思い込み、捨てられた事を彼と婚約者のせいにしました。……婚約者がいるのに、他の女性に手を出した彼の行動は正当化できないと思っています。でも、遊ばれていると見抜けなかった私も未熟でした」
思えば、〝ゴールデン・ターナー〟で同僚にウィルの事を話していた時、『彼はプレイボーイだから気をつけたほうがいい』と警告された。
でも私は嫉妬してそう言っているのだと思い、取り合わなかったのだ。
今思えば、親切心でアドバイスしてくれた同僚にまで、そんな感情を抱いていた自分が、あまりに愚かで恥ずかしい。
帰国してから彼女にメッセージをして謝ったら【全然気にしていないから大丈夫だよ。それより傷付いた芳乃が心配】と言ってくれ、余計に惨めになった。
「……彼と婚約者から逃げて、日本で穏やかな日々を送れていたと思っていたのに、いきなり父を喪いました。今までも両親は、娘が一人でアメリカで働いている事を心配していると分かっていたはずなのに、父が亡くなってから初めて、『もっと親孝行すれば良かった』とか、『自分の欲ばかりを追わずに、店を継ぐ事を考えれば良かった』とか、今さらな事を考えました。……全部、両親が許してくれたから自由にやれてきただけなのに、私は父に何も返せなかった……っ。…………自分はまだまだ子供だという自己嫌悪が、大きな要因だと思います」
心の傷を曝け出すと、暁人さんは真剣な眼差しで私を見つめ、尋ねてくる。
「じゃあ、これからどうすべきだと思う?」
尋ねられ、私は少し考えてから答えた。
「もっと広い視野で世界を見るべきだと思います」
「そうだね。……でも、まるで面接の答えのようだ」
微笑んだ彼に優しく否定され、私は言葉を失う。
今以上の回答はないと思っていたので、他に答えようがない。
「じゃあ……、どうすれば……」
本当に分からない私は、答えを求めて暁人さんを見つめる。
すると、彼は優しく笑って辛辣な事を尋ねてきた。
「君は今の自分を『大好き』と胸を張って言えるか?」
聞かれた瞬間、私は思考を止めて固まった。
(言えない……)
〝ターナー&リゾーツ〟の御曹司と結婚できると思い込んでいたのに、蓋を開ければ一人で舞い上がっていただけ。
金髪美女に嘲笑われても、何も言い返す事のできない一般日本人。
逃げるように帰国したあとも、私はウィルとレティシアが悪いと言い聞かせ、傍から見ればアメリカの御曹司が私なんかに本気になる訳がないという事実から、目を背けていた。
あれだけ自信満々に、家族に向かって『NYに骨を埋めるつもり』と言ったくせに、結局は口だけだった。
アメリカンドリームに敗れて実家でゴロゴロしていた私は、無職で頼りなかった。
家族たちは無事に帰国した事を喜んでくれたのに、私は何一つ結果を残せずに逃げ帰った自分を恥じ、故郷にいるというのに〝こんな所〟で燻っている自分を恥じていた。
加えて、帰国した時に両親を見て『老けたな』と感じた。
それはひとえに、私が彼らを心配させていたからだ。
『やりたい事をやりなさい。そのために支え続けてきたんだから』
両親の優しさに甘え続けた私は、お返しに何をしただろう?
日本の友達は、長期休みになったら帰省して、親に顔を見せてコミュニケーションをとり、家族の誕生日には花やプレゼントを届け、食事会をしていた。
なのに私はタイムラグのある国際便でプレゼントを贈り、ビデオ通話で「おめでとう」を言っただけ。
――私はただの親不孝者だ。
だから――。