垢
母のことは、私が×した。
母を×す直前、よくも私をこんな腐った身体に産んだな、と母に恨みをぶつけた。
母は泣いていた。そして笑っていた。
母は私に「大好き」と言い、私に×された。
父のことは、母が×した。
「私も逝くんだから、貴方も逝きましょう」と父に言い、最後の力を振り絞って父を×した。
母は父よりも先に×んだ。
もう一度「大好き」と私に行って、この世を去った。
父は私に優しく微笑みかけて、この世を去った。
私は何も言えなかった。
自分が×したのに、あの人たちを恨んでいたのに。嫌いだったのに。
私は父と母の最期を見てやっと気づいたのだ。
あの人たちが作るあたたかい家の空気が、
母が作ってくれる料理が、
父が頭に触れてくれる大きな手が。
×してから、痛感させられた。
醜い私を産んだ、醜い父と母が、私は大好きだったのだ。


