オンラインゲーム『ラピスラズリ』
ヒロインの準備は順調かと聞かれれば。
タクマの考えは纏まらず。
中身のある話。ヒロインに選んだのは、タクマの初恋。
アジュールとカプリチオに重ね。このゲームの結末を、よりロマンチックにしたいと語る。
父の猶予に、末っ子の純愛。ミイロの想い。
ゲーム。たかが。それでも復讐を誓った故。
それぞれの想いを未来に繋ぎ。
できるだけ引き延ばした挑戦の日時。
公開なのだけれど。それは限定されたもの。
古株。古参。二周目に至る吸収を知る層。
それはぽこぽんによると、新参に吸収や二周目を教えてはならないと。口止めする制約付き。
今後、アジュールやカプリチオの噂を耳にするものはいないだろう。
秘匿されていく。
運営の奥義配布、奥義クエストが盛り上がり。
特別ではなくなった奥義の寄託。
薄れていく。存在が消されてしまう。
吸収とは別の方法で。
設定した日時。招待状が届き。
それを開くと。見覚えのある闘技場。
そして空から舞い降りる紺碧色のドラゴン。『ラピスラズリ』。
【難攻不落の城】それは。
アジュールは風と雷の魔法を使って、善戦する。
それはカプリチオの戦いを模倣したもの。
奥義の見せ場。
不自然もなく。少しのダメージに、ラスボスのドラゴンは態勢を崩し。
タクマは雷の奥義を発動する。
ミイロは風属性の奥義を持っていなかった。
アジュールは剣を構えて詠唱を唱え、足元に拡がる魔法陣。雷属性の緑色。
剣の切っ先を向ける。そこから闇が生じて、周辺を包む。
魔法陣の外枠から、薄緑色の光が円柱状に上空へと一瞬で。消える。
すると空には雷雲が生じ。光を放った後の魔法陣。
中央からは白煙のような光が、剣の切っ先から束まで螺旋状に絡む。
それを振り上げると。雷鳴の轟。閃光。
掲げた剣は雷を帯びて。アジュールは更に魔法を発動させる。
見せ場を作り、油断していたドラゴン『ラピスラズリ』。
人影と閃光の飛び交う画面。
ドラゴンは対応できず、全ての攻撃を身に受ける。
腕は貫かれ、尻尾は切断。羽は折れ曲がり。
叫び声のような奇声。黒煙の炎を口から吐き出し。
「奥義の火力は微妙だったけれど、画像や効果音は最高品質だね。」
「さっきの追加の魔法はなんだ。」
感情の薄い楽水は前のめりに。
満足そうな笑顔でタクマは答える。
「風のバフ。速度上昇だよ。属性が二つあるのを最大限に生かした電光石火。これは、アジュールだからこそ。そろそろ魔力切れ。記憶に刻んだ。二週目アジュールの役目は終わり。兄さん、アバターの再編をお願い。アバターは男。名前はアズライトで。」