オンラインゲーム『ラピスラズリ』

逃場を見つけ


音楽に耳を傾け、イスに座って机に腕枕で頭を横にする。
机にも響く音の振動。
心地よい、癒される時間に目を閉じた。

「あら?あなた、大丈夫?」
保健室の先生が私の肩に触れながら、心配そうに覗き込む。
「先生、これは?」
体を起こし、視線をパソコンに向けた。
「ふふっ。生徒から教えてもらったのよ、癒しのサイト。」

音楽と画像の『独創サイト』に出逢い、私は保健室を後にした。
教室には戻らず、音楽室へと足を向けた。
防音設備の整った部屋は、鍵が開いている。
中に入ると、暖房の設備も充実しているのか暖かかった。
窓際に向かうと、一階のそこは、校庭が良く見えた。
あの日、見た光景を思い出す様な。
視線を逸らし、窓から離れる。
教室を見渡すと、壁には色彩豊かな絵画が並んでいた。
さっき見た画像と同じ感覚。何だろう、この既視感。
不思議な音楽第一教室。授業では、一度も使用したことはない。
特別な部屋なのだろうか。

終業のチャイムが響き、単位を意識して教室に戻ることにした。
時間は過ぎて行くのに、取り残されたような孤独を味わう。

寂しい。

帰り道を歩きながら、晴(はる)との思い出が幾つも浮かんでは消えていく。
涙が零れ、霞む視界に足を止めた。
涙を拭って、ため息。
空を見上げ、曇り空に苦笑した。
自分の心と同じ、スッキリしない天気。

自分の力を出し切るように、思いっきり走って家に着く。
息が切れ、苦しさの中、汗か涙か分からないものが流れ落ちる。
自分の部屋は、カーテンが閉じていて暗い。
パソコンの電源を入れ、その明るさを頼りにイスに座った。
イスに片足を乗せ、抱えるように両手で引き寄せた。
膝の上に頬を乗せ、『独創サイト』を検索する。
先生が登録するぐらいだから、問題はないだろう。
登録を終え、アバターの選択の画面で手が止まる。
世界に溶け込む像。


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