社長と出会ってしまったら、甘く溺愛されるだけ。
問題は昼休み、昨日社長はこう言った。


『明日もここで待ってるから』


社長を待たせておく訳には……! 早く行かないと、と思うのにどこかためらってしまう。

そして結局、私はまたお弁当を持ったまま会社の廊下を彷徨(さまよ)っていた。

「ね! さっき、社長がウチの部に来たんだけどさ!」

ビクッ、とどこかから聞こえた女性社員の話し声に身体が反応してしまう。

そして、良くないと思いながらも聞き耳を立ててしまう。


「社長が上司と話している所に通りかかったら、めっちゃ良い匂いしたんだけど! ブランドの香水だよ、あれは!」


ズコッとこけそうになるくらい、拍子抜けしてしまう。

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