放置され令嬢と無口な氷の侯爵&雪だるま。『す』の続きが言えるまで

三度目の訪問

クローヴィスは暇なのか結構短いスパンで来る。三度目の訪問だ。

雪だるまはフィーネの部屋に閉じ込めたので来られないだろう。
今度こそ氷の女設定を守るのだ。

「ごきげんようクローヴィス様」
「ああ」

クローヴィスが短い返事をして終わった。
フィーネは紅茶を飲みながら沈黙を続ける。なんとも重苦しい沈黙だ。本来、フィーネは人を無視したりできる性格ではないので罪悪感がある。

「フィーネ」
「……はい」

フィーネは無表情でクローヴィスを見据えた。その瞬間驚いた。

悲しげな雪だるまが机の上にいたのだ。

「ええっ」
「どうした?」
「どうして雪だるまがここに? 部屋に鍵をかけたのに……」

雪だるまが跳ねる。

「魔法で移転してきたぞ」
「はぁ。そんなことができるのですね」

なぜかクローヴィスが愉快そうだ。微笑んでいる。

「それよりフィーネ、今度ある雪祭りに行かないか?」
「えーと確かその日は~」

予定はないが予定があると言って断りたい。

「何か予定があるのか?」
「そうですね」
「そうか」

クローヴィスは無表情だが、雪だるまは悲しそうだ。

「……フィーネは婚約破棄したがっていると聞いた」
「ええっ!! 誰に聞いたのでしょうか?」
「それは言えない」

フィーネのその反応が肯定なのでクローヴィスもそれ以上は突っ込んでこない。

「その前に話し合いの機会を持とう」
「……はい」
< 8 / 35 >

この作品をシェア

pagetop