クロとシロと、時々ギン

シロヤギさんにまた会えた?!(3)

 きっと今の私は、茹でダコのように真っ赤になっているに違いない。

「元通りって……別にいつもはこんなこと……今日は、たまたまというか……」

 慌てて取り繕うように言葉を発した。焦りのあまり、声が裏返りそうになる。

(落ち着け、私。冷静になるのよ)

 自分に言い聞かせながら必死に平静を装うが、うまくいかない。
 対照的に、シロ先輩は落ち着き払っていた。動揺することもなく、涼しげな顔でビールを煽る。
 その横で白谷吟が可笑しそうに笑っている。

「今日の矢城さんは、なかなか積極的だなぁ」
「もう、白谷先輩までやめてくださいよ。さっきのは、つい、ですよ。つい!」

 白谷吟の言葉を、私は慌てて否定する。
 白谷吟はそれ以上何も言わず、ニコニコと私とシロ先輩を交互に見ていた。その視線が居心地悪くて仕方がない。
 恥ずかしさをごまかすように、残りの唐揚げを口いっぱいに頬張るが、先ほどまでと違い味がよく分からなかった。

(シロ先輩だって、本当は困ってるんじゃない?)

 そう思うのが、当の本人はそんな素振りを一切見せない。何事もなかったかのように黙々と食べ進めている。
 シロ先輩が何を考えているのか、全く分からない。
 モヤモヤした気持ちを抱えたまま、私は無心で食べ物を口に運び続けた。
 無反応になった私を見て、萌乃は不思議そうな顔をした。

(どうしよう)

 気まずい空気が流れる。
 いたたまれない気分になりながらも、ひたすら無言で箸を動かし続けた。

「何だか場の雰囲気が悪いし、もっかい乾杯でもしとくか」

 意外にも沈黙を破ったのはシロ先輩だった。おもむろに空のジョッキを持ち上げてそう言う。
 シロ先輩なりのフォローだと気づき、私は慌てて自分のグラスを空けた。
 シロ先輩が注文するのに続き、私も新しいビールを頼む。
 程なくしてビールが運ばれてくると、シロ先輩が仕切り直すように音頭を取った。

「えーっと、じゃあ、改めて。プロジェクトの終了、おつかれ!」

 シロ先輩の掛け声に合わせて、皆でグラスを合わせる。カチンッと小気味良い音が響き、一気にビールを煽る。
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